大胆さと遊び心に欠けた久保。「16試合・0得点」が現状を如実に物語る

2022年06月03日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

このままだとW杯本大会に呼ばれない可能性も

代表初ゴールが遠い久保。ブラジル戦で出場チャンスがあれば奮起してもらいたい。金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 札幌ドームでのパラグアイ戦は日本が4-1で勝利という結果に終わった。前半途中に拮抗した時間帯もあったが、日本の完勝と言えるゲームだった。それは両国のシュート数(日本が26本、パラグアイが10本)からも分かる。

 今回のパラグアイ戦でアピールに成功した選手は何人かいた。突破力とループ弾を見せつけた三笘を筆頭に、ポジショニングセンスとフィニッシュワークが光った鎌田、抜群のロングフィードで先制点の起点となった伊藤、アグレッシブに仕掛けた原口などがそうだ。

 なかでも分かりやすい活躍をしたのが三笘。11分に左サイドで1対1を制して好機を演出すると、60分には華麗なループシュートで追加点と視覚的にも美しいパフォーマンスで観衆を魅了した彼を、この試合のマン・オブ・ザ・マッチに挙げるサッカーファンは多そうだ。

 ただ、その活躍がレギュラーの座を約束するものかと言えば決してそうではない。ポジション毎の序列は4連戦が終わった後に判断すべきで、現時点で「南野よりも三笘こそ左ウイングの一番手に相応しい」などとは言えない。やはり、"基準"になるのはブラジル戦(6月6日)でのパフォーマンス。ここで結果を出した選手がワールドカップ本大会でのスタメンの座にグッと近づくと、そう考えるのが妥当ではないのか。

 果たして、韓国に5-1と圧勝したブラジルとの一戦で、日本はどこまでやれるだろうか。正直、前半途中から圧がなくなったパラグアイとの試合は参考にならないと思っている。その意味で、パラグアイ戦で活躍した三笘や原口、鎌田を安易に持ち上げたくない。やはり、ブラジル戦で結果を出してこそ本物だろう。
 もっとも、ブラジル戦云々以前に──。パラグアイ戦で目に見える結果を残せなかった久保や前田は、このままだとワールドカップ本大会に呼ばれない可能性がある。

 前田は確かに守備面での貢献は目を見張った。最前線であれだけボールを追いかけ、相手の攻撃を遅らせてくれたら味方は助かるが、いくつか好機がありながらもノーゴールに終わったのはやはりいただけない。

 同様に久保もインパクトを放ったかと言えばそうではないだろう。3トップの右で途中出場しながらもワクワクさせるようなプレーが少なく、もちろんゴールもない。A代表戦に限れば、初キャップを刻んだ頃の大胆さと遊び心が欠けているように映るのが気掛かりだ。まだ20歳、されど20歳。16試合・0得点という国際Aマッチでの成績が、久保の現状を如実に物語るかもしれない。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェストTV編集長)

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