停滞感が漂う久保建英。衝撃の代表デビューから間もなく3年。成長曲線を引き上げ、絶対的な戦力になれるか

2022年05月31日 元川悦子

指揮官もベストな起用法を模索するが…

いまだ代表で絶対的な戦力になり切れていない久保。足踏み状態が続くのは、日本サッカー界にとっても望ましいことではない。写真:滝川敏之

 4試合が組まれた6月シリーズに向け、5月30日から千葉県内で日本代表合宿がスタートした。この日は28日(日本時間29日早朝)のチャンピオンズ・リーグ決勝にベンチ入りした南野拓実(リバプール)と、29日(30日未明)にスペイン2部最終戦・アルメリカ戦を終えた柴崎岳(レガネス)、フィテッセとのオランダリーグ・プレーオフのため合流が遅れている菅原由勢(AZ)を除く25人が参加した。

 だが、守田英正(サンタ・クララ)は左ふくらはぎ負傷で別メニュー。上田綺世(鹿島)も室内調整のみで、冨安健洋(アーセナル)も途中から出てきてランニングなどを行なっただけ。全体練習は22人でスタートする形となった。

 1週間前の22日にスペイン1部残留を決めた久保建英(マジョルカ)も元気そうな姿を見せていた。ところが、7対7+フリーマンの練習中に堂安律(PSV)のスパイクが左足首に入り、痛みのあまり倒れ込んだのだ。

 治療を経て、いったんはピッチに戻ったものの、そのまま練習を中断。左足首を固定したまま宿舎に引き上げたという。となると、2日のパラグアイ戦の出場は微妙かもしれない。ただ、今回の代表活動は2週間あり、試合も3試合残されている。もちろん回復次第ではあるが、復帰できる可能性も少なくなさそうだ。

 初日から予期せぬアクシデントに見舞われる形になった久保だが、6月4日に21歳の誕生日を迎える。さらに9日には、国際Aマッチデビューを飾った2019年のエルサルバドル戦から丸3年が経過するのだ。

 18歳になった直後の日本代表戦。2-0でリードしていた67分に途中出場した久保は、その6分後に巧みなドリブルで相手DF2人に割って入り、左足シュートをお見舞いするなど、強烈なインパクトを残した。

「人生を2回くらいやってるんじゃないかと思うくらい、18歳にして自分が見えてる。大物が出てきたなという印象ですね」とワールドカップ(W杯)3度出場のベテラン長友佑都(FC東京)に言わしめるなど、壮大なスケールを感じさせた。
 
 当時は、金田喜稔の持つ19歳119日というA代表最年少ゴール記録更新も時間の問題と思われた。本人も自信があったのか、19年10月のカタールW杯1次予選・モンゴル戦に向けて帰国した際には、「いつまでも言われ続けるのもあれなんで、早いうちに決められればそれで終わりなのかな」と淡々と語っていたほどだ。

 しかしながら、フタを開けてみると、最年少ゴールどころか、3年が経とうとしている現在も代表で得点を奪えていない。もちろん2020年から始まったコロナ禍で3~9月までの代表戦が中止になり、その間に20代を迎えたが、今の代表で絶対的な戦力になり切れていないという事実は想定外と言うしかない。

 森保一監督も最終予選ラストマッチの3月のベトナム戦で、久保を4-3-3の右サイドで先発起用し、途中から4-2-3-1のトップ下に移動させるなど、ベストな起用法を模索し続けているが、最適解を見出せたとは言い切れない。

 加えて、所属のマジョルカでも今季28試合出場(先発17)で1ゴールと、不完全燃焼の感がある結果に終わった。かつて日本代表を率いたハビエル・アギーレ監督就任後は絶対的主力になるという期待も大きかったが、出番が増えず、残留争いの大一番だったオサスナ戦もまさかの出場なしに終わった。
 

次ページ武器のFKを磨き上げるのも一案

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事