【鹿島】「勝利のために100パーセントやる」後半の4ゴールを下支えした和泉竜司の献身性

2022年05月27日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

指揮官は「相手が予測できないチーム」を目ざす

5節以降先発出場を続け、存在感を増している和泉。写真:滝川敏之

[J1第15節]鹿島4ー4鳥栖/5月25日/県立カシマサッカースタジアム

 4失点を喫している以上、評価が分かれる試合と言えそうだ。鹿島はホームに鳥栖を迎えた一戦で、4-4の引き分けに終わった。

 31分に許した田代雅也のゴール以降は攻守で歯車がかみ合わず、38分には宮代大聖に、後半立ち上がりには元チームメイトの小泉慶に"恩返し弾"を決められ3点のリードを許す。

 連戦の疲労なのか、どこか集中力が欠如する場面や、相手の攻撃に対して後手を踏む場面が見られたのは事実。怒涛の反撃で3点のビハインドをひっくり返し、大きく蹴り出せば試合が終わったであろう最終盤に、攻め込まれて2本のCKを許し、こぼれ球への反応で相手選手に負けて同点弾を奪われる脆さもあった。

 一方で、3点を追う後半に、樋口雄太にリーグ戦初ゴールが生まれ、上田は得点ランキングトップとなる9得点目をゲット。アディショナルタイムには今季出場時間を減らしている土居聖真が途中出場からJ1通算50ゴールとなる節目のゴールで同点とし、染野唯月のJ1初得点で一時は逆転に成功するなど、今後にもつながりそうな価値あるゴールが生まれたのは好材料だ。

 特に、攻撃時には、2トップの一角の鈴木優磨が左右に開き、チャンスを創出。上田、土居の得点は、鈴木の空けたスペースを上手く使うなど、前線での流動性が生まれているのは大きな収穫だ。
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 レネ・ヴァイラー監督が目ざす、「相手が予測できないチーム」を実践できるようになっている。

「スペースの作り方、使い方で、必ずしも同じ選手が同じ場所を使う必要はありません。誰かがチームで作ったスペースに入っていけば何も問題はありません。守備のときも、その状況でそこにいる人が対応すれば問題ありません」

 後半に4ゴールを奪取した鳥栖戦で、指揮官の理想とする攻撃を陰ながら支えたのは和泉竜司だ。試合序盤は右サイドハーフとしてプレーし、メンバー交代を重ねるなかで右SB、最後は3バックの一角を担うなど、終盤の猛追を下支えした。

 和泉は、「今日はSBもやりましたし、その後は3バックの一角もやりました。準備していたわけではなく、展開によって務めることになりました」とし、「ボールを動かすなかで相手の嫌がるところを意識していた。優磨が右に下りて、ポジションを変えながら、お互いを見ながら良い関係を作れていた」と鈴木との連係にも手応えを感じているようだ。

「全員で戦っているので。広島戦ではピトゥカがCBに入った時間帯もありましたし、監督としては、誰がどこというイメージはないと思う。しっかり全員がどこで出てもやるべきことや、勝利のために100パーセントやることが大事」と自分だけが特別ではないと言い切る。

 さらに、今後に向けて「連戦なので、(ピッチ上の)11人、(ベンチ入りの)18人でやっているわけではなく、チーム全員で戦っています。(浦和戦、鳥栖戦と)2試合引き分けているので、次はしっかり勝ちたい」と次節のアウェー・FC東京戦を見据えた。

 3か月の治療期間を必要とする荒木遼太郎や名古新太郎、負傷離脱からまだ実戦に復帰できていないエヴェラウドや、仲間隼人など苦しい台所事情のなか、指揮官の采配を助ける和泉の活躍に注目だ。

取材・文●渡邊裕樹(サッカーダイジェスト編集部)

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