今季初出場でいきなり完封!パリ五輪世代の 柏GK佐々木雅士が“偉大な先輩”キム・スンギュから得た学び「差を埋めていく必要がある」

2022年05月22日 松尾祐希

勝負の行方を左右した開始2分の決定機阻止

FC東京戦で今季リーグ戦初出場を飾った佐々木。安定したプレーでチームの守備を支えた。写真:徳原隆元

[J1第14節]FC東京0-0柏/5月21日/味の素スタジアム

 突然巡ってきた出場機会にも動じない。開始早々に試合の流れを引き寄せるビックセーブを見せられたのは、日々の積み重ねがあったからだろう。

 5月21日に行なわれたJ1リーグ第14節のFC東京戦。柏レイソルのスターティングメンバーに守護神キム・スンギュの名は記されていなかった。

「キム・スンギュはゲームに向けて準備をしていたが、コンディション不良で今回のゲームには帯同していない」(ネルシーニョ監督)

 詳細は明かされていないが、指揮官の言葉からも土壇場で出場を回避したことがうかがえる。そうした状況下でキム・スンギュの不在の穴を埋めたのが、U-21日本代表でもある20歳のGK佐々木雅士だ。
 
 今季、ルヴァンカップでは出場機会を得ていたが、リーグ戦では初出場。試合勘も含めて準備が難しいなかで迎えた一戦で、開始2分にいきなり見せ場が訪れた。

 自陣でボールを失いカウンターを浴びると、至近距離でFC東京のMF安部柊斗にシュートを放たれる。決して簡単に処理できるようなシュートではなかったが、最後までボールから目を切らずに左足一本でピンチを阻止した。

 試合が始まって120秒足らず。早い段階で失点をすれば、試合運びが難しくなり、選手たちのメンタルにも影響を及ぼす。だが、逆に防げれば、相手に精神的なダメージを与えられる。

「キックオフの直後に決定的なチャンスがあった。あれを決めていれば、また別の試合展開になっていたと思う」とはFC東京アルベル監督の言葉。敵将が悔やんだ通り、佐々木のプレーが勝負の行方を左右したと言えるだろう。

 最初のプレーで自身も流れを掴んだ佐々木は、その後も安定したパフォーマンスで最終ラインを支えていく。とりわけ素晴らしかったのが、DFの背後にできたスペースのケアだ。

 3バックの立ち位置に合わせてポジショニングを変え、DFの裏に蹴られたボールは状況に応じて自ら処理。印象的だったのが、54分のプレーだ。FC東京のDF森重真人が前線へロングフィードを蹴り込むと、MF松木玖生が反応。最終ラインの背後に猛然とスプリントしてきた。しかし、佐々木は迷わずペナルティエリア外に飛び出し、ヘディングでボールを外にクリアする。一歩間違えば失点になる場面でも勇敢に飛び出し、ピンチの芽を未然に刈り取った。
 

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