【セルジオ越後】海外組がニュースになっているけど…本当の意味でまだ彼らは“世界”とは戦っていないよ

2022年05月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

ベスト8以上を目指すなら、もうひとつ殻を破らなければいけない

セルティックでリーグ優勝に貢献した(左から)井手口、前田、旗手、古橋。ここからさらにステップアップするのは誰か。ニュースになるのはそれからだよ。(C)Getty Images

 欧州のフットボールシーンが佳境を迎えるなか、かの地でプレーする日本人選手がニュースになることがある。

 2年ぶりにスコットランドリーグを制したセルティックには、古橋、前田、旗手、井手口の4人が所属。彼らの健闘を伝える報道も目にしたし、なかでも古橋は、怪我で離脱する時期はあったにせよ、移籍1年目からまずまずの成績を残している。

 それでも、チームのトップスコアラーではない。前田も旗手も井手口も頑張ってはいたと思うけど、群を抜いていたわけではない。ギアクマキスとか、日本人以外にも活躍した選手がいることを忘れてはいけない。

 そもそも、欧州と一言で言っても、その中で歴然としたレベルの差はあるし、スコットランドはそこまでレベルが高いわけでもない。しかも、スコットランドはセルティックとレンジャーズの2強の構図。所属していたチームは優勝する可能性が高かったという側面は無視できないよ。

 問題は、ここからどうステップアップしていって、よりレベルの高いリーグのクラブで活躍できるか。ニュースになるのはそれからだよ。

 スコットランドのほか、ベルギーやオランダでも、リーグの質を考えれば、その国でプレーする日本人選手は、本当の意味ではまだ"世界"とは戦っていない。日本の報道だけを見て、錯覚してはいけないよ。

 ワールドカップでベスト8以上を目標に掲げるなら、もうひとつ殻を破らなければいけない。4大リーグのひとつ、ブンデスでプレーする日本人の中には、個人スタッツで際立つ数字を残す選手もいれば、欧州カップ戦で決勝に進んだ選手もいる。
 
 それはひとつの評価に値するけど、所属クラブがリーグでどの位置にいるかも考えなければならない。現在の活躍を踏まえて、もっと強いクラブから声がかかるかどうかがより重要なんだ。

 南野はリバプールというビッグクラブに所属しているけど、思うような活躍を示すことができていないのが現状だ。世界という括りでは、日本人選手はまだまだレベルアップしなければならない。

 6月に来日するブラジル代表のメンバーが発表されたよね。注目してほしいのは、彼らの所属先であり、チーム内でどういう位置づけにある選手かということだ。

 ほとんどが海外組で、その意味では日本代表と大きな違いはない。でも、クラブのステータスが決定的に違うよね。これが現実なんだ。日本人選手がリーグ優勝に貢献したとか、ゴールを決めたとか、もちろんそれはそれで喜ばしいことではあるけれど、現状に満足してほしくないね。

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