崩しの端緒を開いた「トップ下香川」 ドルトムントの圧勝を演出!

2015年08月16日 遠藤孝輔

テンポの良いパス回しと連動したプレスでボルシアMGを圧倒。

トップ下で躍動した香川。ドルトムントを快勝に導く活躍を見せた。 (C) Getty Images

 優勝候補バイエルンの対抗馬を占うオープニングマッチ最大の注目カードで、新生ドルトムントがボルシアMGを4-0と一蹴した。
 
 トゥヘル新監督を招聘したチームが見せつけたのは、華麗さと力強さを融合させた高質なサッカーだ。
 
 4-1-4-1を採用したDFBカップ1回戦とは異なり、香川をトップ下に据える4-2-3-1で臨んだドルトムントは、序盤からエンジン全開。連動したプレッシングで相手に自由を与えず、8分にはショートカウンターからムヒタリアンがネットを揺らした。
 
 これはオフサイドで取り消されたが、15分に正真正銘の先制点をゲットする。バイタルエリアでCBフンメルスから縦パスを受けた香川がダイレクトで丁寧なパスを送り、ロイスがワールドクラスの豪快な一撃をネットに突き刺した。
 
 先手を取ったドルトムントの勢いは止まらない。21分、ふたたびフンメルスのパスを起点に、左SBのシュメルツァーが極上のクロスを送り、頭で合わせたオーバメヤンが追加点。27分には高速カウンターからロイスが決定機を迎え、33分には勝負の行方を決定づける3ゴール目が決まる。
 
 自陣の低い位置にプレスバックした香川とアンカーのヴァイグルがボールを奪い、電光石火の速攻がスタート。ギュンドアンを経由して、裏へ飛び出したオーバメヤンへとパスが繋がり、最後はムヒタリアンが冷静にゴールに流し込んだ。
 
 引いた相手を崩せなかった昨シーズンとは異なり、この日のドルトムントは左右への効果的な揺さぶりを用いながら、遅攻も上手くフィニッシュまで結び付けていた。
 
 その象徴的なシーンが36分。起点を作った左サイドに相手を引き付けてから、右サイドにボールを展開し、右SBピシュチェクのクロスをオーバメヤンがダイレクトボレーで合わせ、相手GKゾマーに冷や汗をかかせた。
 
 ハーフタイムを挟んでも、ドルトムントが試合をコントロールする展開は変わらない。
 
 50分、DFライン裏に飛び出したロイスに香川が絶妙なパスを送り、エースの折り返しをふたたびムヒタリアンがワンタッチでゴールに流し込む。これでスコアは4-0。
 
 ボルシアMGに反撃に打って出る気力も手立てもなく、テンポの良いパス回しとプレスを最後まで継続させたドルトムントが、このまま危なげなく試合を締めてみせた。
 
 先制点をアシストした香川は中盤のボール回しに頻繁に顔を出し、崩しの端緒を開くパスを何度も供給。献身的なプレスでボールを奪うなど、守備面の貢献も光った。
 
 惜しむらくは66分の決定機逸だ。オーバメヤンとの華麗なワンツーからGKと1対1の場面を迎えたが、左足で狙い澄ましたシュートは枠のわずか左に外れた。
 
 とはいえスタメン出場が危ぶまれながら、昨シーズン3位のボルシアMG撃破を演出した功労者のひとりとなり、レギュラー定着に一歩近づいた印象だ。
 
文:遠藤孝輔
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