【FC東京】「私はすごく泣いて…」。アマラオが語る〝国立競技場の思い出“

2022年04月21日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

忘れられないジェフ戦での「アマラオ・コール」

長年FC東京を支えたアマラオ。ファン・サポーターからは〝キング・オブ・トーキョー”と呼ばれた。写真:サッカーダイジェスト

 2022年4月29日、国立競技場でJ1リーグ初開催となるゲームが行なわれる。FC東京がG大阪を迎え撃つこの一戦の注目度の高さは、「1万名の無料招待」に応募が殺到した点からも分かるだろう。〝聖地"国立、しかもそこで東京都をホームタウンにするクラブが戦うわけだから、現地観戦への興味をかき立てられるのも当然だ。

 国立と言えば、FC東京が2020シーズンのルヴァンカップを制したスタジアムでもある。他にも2004シーズンと2009シーズンのリーグカップ・ファイナル、2011シーズンの天皇杯決勝で勝利を手にした場所でもあり、クラブにとっては縁起がいい。

 そんな国立に特別な想いを抱いているひとりが、かつてFC東京で活躍した〝キング・オブ・トーキョー"ことアマラオである。実際、改装前の国立ではFC東京の一員として「18試合もやって、ゴールも決めたから良い思い出がある」という。

 アマラオが初めて国立のピッチに立ったのは、リーグカップの鹿島戦。99年10月6日に行なわれた準決勝・第2戦だった。結果は1-1の引き分け(2試合トータル1-3)で決勝進出は逃がしたものの、彼自身は「素晴らしい芝生のピッチでプレーできて、今までで一番感動した」と振り返っていた。国立の試合では、自らのVゴールでチームを勝利に導いた名古屋戦(2000年3月25日)以上に、2000年3月18日の福岡戦が印象深いという。そう、アマラオがJリーグ初ゴールを決めたゲームである。

「3タッチでゴールを決めた。サンドロ選手のFKをツゥット選手がヘッドでつないで、私が決めた。生涯忘れることができないゴールだったね」
 
 ゴールで言えばハットトリックを成し遂げた川崎戦(2000年7月8日)も忘れられないというが、〝ゴールとは違う意味"で覚えている試合もある。

「(2000年11月23日の)ジェフ戦、最初から最後までファン・サポーターが『アマラオ』と叫んでくれました」

 この市原戦を迎えるにあたり、アマラオはひとつのターニングポイントを迎えていた。2000シーズンの終盤に横浜F・マリノスのアルディレス監督から誘われ、あとはサインするだけの状態まで話は進んでいたのだ。しかし、市原戦の前日、ファン・サポーターの代表者数人がチームの宿泊ホテルに来て──。

「私に向かって言うんですよ。『(横浜に)行くなよ』って。そこで私はすごく泣いて……。で、次の日、国立のピッチに立ったら『アマラオ! アマラオ!』ってスタンドから声が聞こえて。(佐藤)由紀彦がゴールを決めたあとも、『アマラオ! アマラオ!』って言ってくれてね(笑)。結局(私は移籍せずに)残留したんだけど、このジェフ戦も大切な思い出だね」

 自身の思い出に触れてくれたアマラオは、国立でプレーする意義を次のように語ってくれた。

「みんな国立で戦いたい。特別なスタジアムだからね。東京のクラブが、東京にある国立でプレーできるなんて本当に素晴らしい。そこで勝つことができれば気持ちいいし、今度のガンバ戦もとても楽しみ」

 

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