【松本】オビナ&ウィリアン――期待のブラジルコンビはチームを救えるか?

2015年08月15日 大枝 令

ブラジル時代に磨かれたコンビネーションでJ1残留への救世主に。

パルメイラスやアメリカ・ミネイロでチームメイトだったオビナ(右)とウィリアン(左)。お互いの信頼感は揺るぎなく、息の合った連係で松本の攻撃力アップに尽力するつもりだ。写真:大枝 令

"サッカー王国"で育んだコンビネーションを、今度は地球の裏側でも披露できるか──。
 
 今夏の移籍期間中に、松本はブラジルのバイーアからFWのウィリアンを獲得。この新助っ人は、前線に君臨するオビナとはブラジル時代のチームメイトだ。09年にはパルメイラス、14年にはアメリカ・ミネイロでともにプレーし、「お互いにどんなプレーをするのかは分かっている」と異口同音に言う間柄である。
 
 特にコンビネーションが磨かれたのは、アメリカ・ミネイロ時代だ。身体の強いオビナがFW、走力のあるウィリアンがMFとして起用されていたという。
 
「一緒にプレーするなかで、オートマチックにコンビネーションができ上がっていった。彼のスタイルも、どんなボールが欲しいかも分かるし、攻撃時に一番サポートに入ってくれたのもウィリアンだった」
 
 そうオビナが信頼感を示せばウィリアンも同調する。
 
「オビナはキープ力もシュートも素晴らしい選手。コミュニケーションを取り合っていければ、素晴らしいコンビネーションを見せられると思う」
 
 そんな蜜月のふたりが、ブラジルから遠く離れた日本で再びコンビを組むことになった。実は、クラブは昨季からウィリアンの存在は知っていたが、当時のチームのニーズとは合わなかったために見送っており、前線の補強ではオビナを獲得している。
 
 だが今回は「スピードがあるし、ハードワークもできる。オビナとの2トップで走りまくるイメージ」(南省吾テクニカルダイレクター)と白羽の矢を立てた。
 
 ウィリアン本人はかねてより海外でのプレーを熱望しており、オビナの在籍チームということも手伝って移籍を即決。クラブの公式発表より前に、SNSで自身の写真と松本のエンブレムを組み合わせた画像をアップしてしまうほどの喜びようだった。
 
 「いつもオビナとは連絡を取り合っていた。オファーをもらった後は、どういうクラブなのか、松本がどういう街なのかを聞いた」(ウィリアン)
 
 自身初の海外移籍を前に、新天地に素早く適応できるよう事前に情報収集をした。今月5日の甲府との練習試合では、早くもオビナと息の合った連係を垣間見せるなど、順調にチームに馴染んでいるようだ。
 
 もっとも、J2降格圏内で苦しむ松本に、彼らの"コンビ再結成"の熟成をじっくりと待つだけの余裕はない。それは彼らも承知しており、「ふたりとも考えているのは、一刻も早くチームの助けになること。勝つことで悪い状況を抜け出さなければならない」とオビナが言葉に力を込めれば、ウィリアンも「しっかりとトレーニングを積んで、降格圏内から抜け出す力になりたい」と意気込む。
 
 高いキープ力で前線の起点となるオビナと、スピード豊かなウィリアン。期待のブラジル人コンビは、チームを救う特効薬になれるか。
 
取材・文:大枝 令(フリーライター)
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