バイエルンはCLを制覇できるか。ドイツの絶対王者が抱える課題とカギを握る34歳指揮官のマネジメント【現地発】

2022年04月05日 中野吉之伴

「選手は毎週ピッチで全力を出しているか自問自答しなきゃだめだ」

ブンデス10連覇が濃厚なバイエルンが見据えるのは欧州制覇だ。(C)Getty Images

 今シーズンのバイエルンはチャンピオンズ・リーグ(CL)でどこまで勝ち残れるだろうか。

 現在ブンデスリーガでは2位のドルトムントに勝点9差をつけている。そのライバルは好不調の波が激しく、取りこぼしも多いために、バイエルンのリーグ10連覇はほぼ間違いなしとみられている。だが、今季の王者は盤石かというとそうでもない。いろいろと問題を抱えている。

 直近5シーズンを見てみると、16-17シーズンはわずか2敗、その後4年間はそれぞれ4敗でリーグ優勝を果たしているのだが、今季は22節の段階ですでに4敗目を喫した。しかも、その相手はドルトムントでも、レバークーゼンでも、RBライプツィヒでもなく、シーズン好調のフライブルクでもケルンでもホッフェンハイムでもない。浅野拓磨がプレーする昇格組のボーフムを相手に2-4の完敗を喫したのだ。

 そのほかにも、勝ったとはいえ、最下位グロイターフュルトを相手に、低調な出来で先制点を許した試合もあった。ドイツカップではボルシアMGに0-5で完敗。これまでのバイエルンではなかったことだ。
 
 ドイツ代表MFヨシュア・キミッヒはボーフム戦後、こう吐き捨てた。

「選手はみんな毎週ピッチで全力を出しているか自問自答しなきゃだめだ。あまりに多く起こりすぎている。過去こんなことはなかった。何度も4、5失点をする試合があるなんて。今日は負けるべくして負けた」

 CLでも決勝トーナメント1回戦のザルツブルク戦ではアウェーでのファーストレグはザルツブルクの勢いと戦術の緻密さに押され、何度も危ないシーンを作られていた。終了間際になんとかキンスレー・コマンがゴールを決めて引き分けで折り返したが、ホームでのセカンドレグの前に、ドイツ国内では少なからずチーム状況を心配される声があったものだ。

 リーグ25節のレバークーゼン戦は1-1の引き分け。レバークーゼンのゲラルド・セオアネ監督は普段の4-2-3-1システムを3-4-3に変更。FKから同点ゴールを挙げただけではなく、狙い通りの鋭いカウンターから何度もバイエルンゴールを襲った。すでに知れ渡っているバイエルン対策について、指揮官はこう説明している。

「バイエルンが誇るオフェンスの強さに対抗するためだ。幅と深みをよりコントロールしたかった。5-3-2、5-2-3、5-4-1のミックスといえる。守備時には5バックの前に2枚のボランチ、そしてその前に3人の足の速い選手を置いて、鋭い切り替えからのアタックを狙う。バイエルンとのアウェー戦で本当に危険なプレーをするためにできるいま唯一の可能性だと思う」

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