AZで100試合達成の菅原由勢。日本で出番を失った若武者がオランダ強豪で“不動の存在”になるまで――。「何段階ステップアップしたんですかね!?」【現地発】

2022年04月04日 中田徹

「俺なんてプロでぜんぜん通用してない」

AZ3年目で公式戦100試合出場を達成した菅原。(C)Getty Images

 AZでの公式戦100試合出場を達成したDF菅原由勢(101試合)とダニ・デヴィト(102試合)の両名が、4月2日に行なわれたフィテッセ戦のキックオフ前に表彰を受けた。試合は3-1でAZが勝ち、順位を一つ上げて4位になった。右ウイングとして先発した菅原は、終盤は右サイドバックとして試合を締めくくり、チームの勝利に貢献している。

「今日は難しい時間帯もありましたが、比較的、悪くないサッカーができていたと思いますね」などと、フィテッセ戦について菅原に語ってもらっていると、オランダ人記者が「100試合出場、おめでとう」と声をかけてきた。

「3シーズンで、年齢も21歳。しかも一つのクラブでもう100試合ってすごいですね。海外のクラブで100試合出られるということは光栄です。AZは僕を拾ってくれたようなものなんでね。感謝しています」と菅原は感慨深けに語った。
 
 名古屋グランパスの一員としてJリーグ・デビューを果たしたのは17歳のとき。若きSBの登場はメディアでも大きく扱われ、最初の3試合は2勝1分け(うちクリーンシート2試合)と上々のスタートを切ったが、その後はチームの不振とともにJリーグでの出場機会を失ってしまった。

「常に壁を感じながらプレーしていました。チームの結果を見たらぜんぜん。8連敗(1分け9敗)ぐらいしてました。『俺なんてプロでぜんぜん通用してない』と感じながらプレーしてました。自分の実力不足で出場機会を失って、新しい選手をチームが獲得ということで、プロ1年目でプロの厳しさを見せつけられました」

 トップチームでの出場機会はルヴァンカップと天皇杯のみ。「試合に出ないと成長しない」と危機感を持った菅原は、2019年にポーランドで開かれたU-20ワールドカップに「人生のすべてをかける」という意気込みで大会に臨んだ。

「U-19アジアカップで予選を突破(日本はベスト4)してワールドカップ出場が決まったときに『そこで自分の世界を変えるしかない』と思いました。ショーケースなんでね。18歳、19歳、20歳の選手なんて買い時じゃないですか。しかも、大会がポーランドであったので、ヨーロッパのスカウトがたくさん来るのはわかっていました。いろいろなことを犠牲にして、U-20 ワールドカップに人生のすべてをかけました。日本が優勝するためという思いを一番にプレーしてましたが、僕のミスで負けてしまいました(日本はベスト16)。決して許されるミスではなかったですが、それをその後のエネルギーにうまく変えることができたと思います」

 欧州のスカウトにアピールするためにはゴールやアシストといった個人成績も欲しいところ。しかし、「個人のことはまったく考えてなかった」と振り返る。

「若い世代の大会ですが、日本を代表して戦っているんで、チームとして勝つことを一番に考えてました。その中で、自分の強みが日本の武器になって、プラスアルファをもたらすことを考えてました」

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