【喜熨斗勝史の欧州戦記|第12回】イタリア敗退で改めて戦慄を覚えたヨーロッパ予選。実力拮抗の一因とは?

2022年03月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

麻也とは「もしも対戦するならば決勝戦でやりたいね」と話しています

デンマーク戦前の様子。0-3で敗れたが、強くなるためには必要な試合だった。

 セルビア代表のドラガン・ストイコビッチ監督を右腕として支える日本人コーチがいる。"ピクシー"と名古屋でも共闘し、2010年のリーグ優勝に貢献した喜熨斗勝史だ。

 そんな喜熨斗氏がヨーロッパのトップレベルで感じたすべてを明かす連載「喜熨斗勝史の欧州戦記」。第12回は、イタリア代表が敗退したワールドカップのヨーロッパ予選について、実力拮抗の一因を語ってもらった。
 
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 日本代表の選手、スタッフ、関係者、ファンの皆さま。ワールドカップ出場本当におめでとうございます! そして森保一監督、いち指導者として本当に感謝しています。森保監督も会見で言及していましたが、今回、日本代表がカタール行きを逃していたらすべての日本人指導者の評価を変えてしまう可能性があったと思います。最終的には個々のパーソナリティによって指導者は判断されますが、それでもバックグラウンドは見られます。セルビアで働く私や、今後海外でコーチを目指す方にとっても「日本人スタッフで結果を残した」事実は喜ばしいことです。

 オーストラリア戦はもちろんライブ観戦していました。ミスター(ドラガン・ストイコビッチ監督)は会議で不在でしたが、他のコーチングスタッフとともに遠征地のハンガリー・ブダペストのカフェで応援していました。

 ワールドカップ出場が決まった瞬間は皆が祝福してくれました。名古屋グランパスの選手、監督として日本サッカー界に携わったミスターからも「日本がワールドカップに出てくる。それも教え子がキャプテンとして来るのは嬉しい。おめでとう」との言葉を頂き、それを日本代表の主将を務める(吉田)麻也に伝えました。ワールドカップは対戦相手うんぬんではなく、お互いにひとつでも上に進出するのが目標になりますが、少しやりとりをした麻也とは「もしも対戦するならば決勝戦でやりたいね」と話しています。

 そして4月1日にはワールドカップ抽選会。続々と出場国が決まってきてワールドカップの足音を感じつつ、改めて紙一重の欧州予選に戦慄を覚えました。あのEURO王者のイタリア代表が2大会連続でワールドカップに出られないのですから。

 実際に我々もルクセンブルク代表とは敵地で1-0でしたし、アゼルバイジャン代表とも敵地では厳しい戦いを強いられました。FIFAランキングで言えばイタリアは6位で、北マケドニアは67位。ただ、欧州各国の実力差はそこまで大きなものではないということです。我々がいかに頑張ったのか、どれだけ現在の境遇が幸せなことなのかを噛み締めています。

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