【FC東京】キーマンは松木玖生と…。横浜、神戸、浦和、ACL出場組との勝負の3連戦をモノにできるか

2022年03月31日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

松木のダイナミックな動きがチームにもたらすものは大きい

インサイドハーフの主力に定着した感もある松木。ACL出場組との3連戦でどんな働きをするか。写真:サッカーダイジェスト

 リーグ3連勝中のFC東京が、4月2日の横浜戦から〝ACL出場組3連戦"に臨む。J1の4試合を消化して5位につけており、この3連戦をモノにできればさらに上位へと浮上する可能性が高いだけに、勢いをつける意味でも白星を掴みたい。

 アウェーの横浜戦はもちろん、続くホーム2連戦の勝敗が今後の行方を占ううえで重要なポイントになりそうだ。しかも、4月6日の神戸戦、4月10日の浦和戦で敵のベンチに座るのは、アルベル監督と同じスペイン人指揮官である。神戸のリュイス監督、浦和のロドリゲス監督が打ち出す戦略にどう対抗するか。アルベル監督の手腕は見どころのひとつになる。

 残念ながら、アルベル監督が標榜するサッカー、すなわちポジショナルプレーとポジショニング重視のスタイルは今季ここまで十分に体現できていない。いわば産みの苦しみを味わっている状態で、押し込まれる時間帯が少なくないのが現状だ。それでも、時折〝ポン、ポン、ポン"と綺麗なパスワークで崩すシーンもあり、そうしたコンビネーションが決まった瞬間はスタジアムも大いに沸く。

 そんなFC東京に対し、神戸も浦和もポゼッションを重視するサッカーだけに、このホームゲーム2連戦はオープンな展開になっても不思議はない。スタイルが浸透していないFC東京で鍵となるのは守備陣だろう。事実、リーグ戦で消化した4試合での総失点は2。なかでもGKでスウォビィクのパフォーマンスは素晴らしく、エリア外のシュートへの対応はパーフェクトと言っていい。

 スウォビィクが4バックにもたらす安心感は半端なく、CBの木本も「ある程度のところなら打たせても大丈夫」とコメントしている。ちなみに、森重を含む両CBとGKの連係の凄さはスタジアム観戦でこそ分かるものだ。木本と森重が巧みにシュートコースを限定し、それに呼応するようにスウォビィクが的確なポジショニングで構える。偶然ではない、必然の機能美を今回のホームゲームでは堪能できるかもしれない。
 
 もっとも、点を取らなければ勝てないのがサッカーで、その意味でのキーマンのひとりが森重だ。卓越した足技と優れたインテリジェンスで組み立てに寄与するだけでなく、味方のセットプレーでは貴重な得点源になる。実際、4節の広島とのホームゲームでは、三田のFKにヘッドで合わせて先制弾。ここぞという場面で大仕事をやってのけるのが森重の魅力でもある。

 インサイドハーフの主力にすっかり定着した感がある松木もキーマンだろう。豊富な運動量でピッチの広範囲をカバーできるタフネス、さらに試合終盤でも十分な馬力でボールを運べるパワーは必見で、そのダイナミックな動きがチームにもたらすものは大きい。

 仕掛けや崩しの局面では、ドリブラーの紺野に注目したい。昨季の広島戦(37節)での自身J1初ゴールからどこか吹っ切れたような印象で、今季3節のC大阪戦で決勝ゴール。鋭いカットインからフィニッシュワークに持ち込む姿はスペクタクルそのもので、このテクニシャンがボールを持てば何かやってくれそうな期待感がある。

 心強いファン・サポーターの応援をバックに、FC東京はどんなパフォーマンスを披露するのか。この3連戦でチームとしての確かな進化を見せつけたい。

文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

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