【FC東京】かつては久保建英とともに評された平川怜。このまま脇役で終わってほしくない

2022年03月26日 白鳥和洋(サッカーダイジェスト)

アルベル監督のサッカーとの相性は悪くない

ルヴァンカップの湘南戦で先発出場した平川。後半頭から交代するまでは落ち着いてプレーしていた印象だ。写真:サッカーダイジェスト

ルヴァンカップ グループステージ3節/FC東京 2—1 湘南/味の素スタジアム

 チームとしてなかなか連動しない。それが、ルヴァンカップ・湘南戦(3月26日)の前半を観ての率直な感想だ。アルベル監督が標榜するサッカー(重視するのはポジショニングとポジショナルプレー)への完成に向けて手応えというよりも苦悩が見て取れる45分間だった。

 なかでも戸惑っていた印象を受けたのが平川。4—3—3システムのアンカーを任されたものの、攻守の両局面でポジションが中途半端で消える時間帯も少なくなかった。鈴木と渡邊の両サイドバックがボールを持っても孤立気味だったのは、平川のサポートが稚拙だったからと、そんな見方もできた。

 実際、平川はCBの森重に試合中コーチングを受けている。もどかしい試合展開で主導権をそこまで握れなかったからこそ、森重に要求されたのかもしれない。

 ところが、後半になると、平川のポジショニングが多少なりとも修正された。味方と良い距離感でプレーするシーンが増え、前半ほどのバタつきはなくなった印象だった。と同時にチーム全体の動きも前半よりは良くなった。平川は64分で交代したが、この日の彼のパフォーマンスから感じ取れたのはFC東京の4-3-3システムにおいてアンカーが担う役割は相当重要だという事実である。

 

 もちろんアンカーのプレー次第で勝敗が決まるわけではない。日本代表の戦いを見ても、アンカーの遠藤頼みではないだろう。田中、守田を含むユニットとしての働きが素晴らしかったからチームが安定したわけで、アンカーがたとえ上手くハマったとしても今のFC東京が劇的に変わると思えない。

 ただ、チームの完成形を見据えるうえでアンカーは間違いなくひとつの鍵だ。現在一番手の青木も決して不動ではない。途中出場した湘南戦でもミスはあり、不安定さを覗かせた場面はそれなりにあった。このポジションは他に木本、森重も試されているが、最適解が見つかっていない印象を受ける。

 平川はボールを扱うスキルに長けており、その点でアルベル監督の"ボールを愛するサッカー"と相性は悪くない。今後の成長によっては、いずれアンカーの一番手になる可能性もなくはないだろう。

FC東京U-18時代は久保と並ぶエース格で、17年のU-17ワールドカップでも活躍していた平川にはポテンシャルが間違いなくある。プロデビュー当初は優雅なパスワークとボールタッチで攻撃を構築し、久保に勝るとも劣らない才能と評されたこともあった。力はあるのだから、このまま脇役で終わってほしくない。いずれFC東京を背負って立つMFになる、それが平川怜に課せられた使命ではないだろうか。

取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)

 
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