「小嶺先生の教え子として…」プロ入りを見据える長崎総科大附・守護神が恩師の教えを胸に飛躍を誓う!

2022年03月15日 安藤隆人

昨年度は2年生守護神として選手権に出場

長崎総科大附の守護神、亀井一起。ポテンシャルの高いGKだ。写真:安藤隆人

 今年の長崎総科大附には頼もしき守護神がいる。昨年からゴールを守る亀井一起は184cmの高さを持ち、抜群のセービングセンスと強烈なキックが売りだ。
    
「一番の得意はロングキックで相手の裏を取ることです。クロスも最近はかなり積極的に出るようにしています。キャッチはかなり得意としていて、意識しています」と自己分析する亀井は、3月上旬に行なわれたプーマカップ前橋で前橋育英、尚志、FC東京U-18といった強豪を相手に、持ち前の反応スピードと空中での安定した姿勢でファインセーブを連発。今年も全員のハードワークと前への推進力をベースにサッカーを組み立てるチームを最後尾から盛り立てた。

 大分県出身の彼は、所属する別府FCミネルバから「選手権に出続けられるチームに行きたいと思っていたし、何より小嶺忠敏監督の指導を受けたかった」と、長崎総科大附の練習試合に参加。そこで小嶺監督直々に「来てほしい」と言われ、入学することを決意した。

 昨年、その夢は叶った。2年生守護神として選手権に出場。しかし、ベンチに小嶺監督の姿はなかった。プリンスリーグ九州入れ替え戦の鵬翔戦以降、小嶺監督は体調不良でチームに帯同をしなくなった。

「選手権期間、僕らは小嶺監督の容態をあまり聞かされていなかったのですが、戻ってくることを信じて戦おうと思っていました。勝ち続ければ、もしかしたら戻ってきてくれるかもしれないと思っていました」

 だが、その願いは叶わず、小嶺監督は帰らぬ人となった。チームも3回戦で東山に敗戦。あれから2か月、亀井はいろんな思いを抱えて高校最後の1年に臨もうとしている。
「小嶺先生がいなくなったから弱くなったとは絶対に言わせないように、僕らが中心になってコンスタントに全国で結果を出していきたい。そのためにはGKである僕に調子の波があってはいけないと思うし、チームメイトが安心してゴールを任せられる存在になれるように頑張りたい」
 
 潜在能力はすこぶる高い。だが、昨年までは調子の波があり、いい時は乗ってプレー出来るが、一度悪くなるとリズムを崩してしまう課題があった。昨年は3年生に助けられたが、今年は自分がチームを引っ張る立場になったからこそ、自覚を持ってこの課題に取り組まないといけない。何より、恩師にも安心感を与えたいという気持ちが亀井にはあった。

「小嶺先生から教えてもらったことはたくさんありますし、精神的にもかなり鍛えてもらいました。勝負にこだわるところもそうですが、小嶺先生は常にごまかすな、人に嘘をつくなと、人として大事なことを教えてくれたので、あとは僕らが引き継ぐだけだと思います。小嶺先生の教え子としてもっともっと成長していきたいです」

 将来的には関東の強豪大学に進んでプロ入りも考えている亀井。恩師の教えを胸に、責任と自覚、そして将来への夢を持って長崎総科大附のゴールマウスに立ち続ける。

取材・文●安藤隆人(サッカージャーナリスト)

【高校サッカー選手権2回戦PHOTO】長崎総科大附1-0堀越
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