ロシアでコーチを務める元ウクライナ代表主将に、母国協会が異例の厳格処分を発表。「代表記録の抹消」「同国でのサッカー活動の生涯禁止」など

2022年03月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

「侵略者のクラブとの協力を止めなかった」

現在はゼニトでコーチを務める元ウクナイナ代表のティモシュク。 (C)Getty Images

 ウクライナ・サッカー協会(UAF)は3月11日、元ウクライナ代表MFのアナトリー・ティモシュク氏に、「倫理およびフェアプレー委員会の訴えを考慮」し、厳しい処分を科すことを正式に発表した。

 ウクライナ代表の最多キャップ(144試合)を誇るレジェンドであるティモシュク氏は現在、現役時代にプレーしたロシアのゼニトでアシスタントコーチを務める。だが、ロシアのウクライナ侵攻が始まった後も、沈黙を貫いていたため、同員会は倫理規定およびフェアプレーの違反の可能性を検証。9日に次のように発表をしていた。

「ロシアのウクライナに対する軍事侵略が始まって以来、ウクライナ代表チームの元キャプテンであるティモシュクは、この点に関して公の声明を発表しなかっただけでなく、侵略者のクラブとの協力を止めなかった。彼のもうひとつの古巣であるバイエルンミュンヘンが声明を発表し、ウクライナを支援する行動をとっているのに、ティモシュクは沈黙を守り、侵略者のクラブのために働き続けている。この意識的な選択を行うことにより、彼はウクライナのサッカーのイメージを傷つけ、倫理規定およびフェアプレー条項に違反する」
 
 これを受け、ティモシュクについて、次のような処分及び決定事項が発表された。

・UAFライセンスセンターによって発行されたプロレベルのコーチングライセンスを剥奪する。
・ティモシュクからすべての州の賞と称号を剥奪するよう公的機関に申請する。
・ウクライナ・リーグ、ウクライナ・カップ、ウクライナ・スーパーカップの優勝と準優勝のタイトルをすべて剥奪する。
・ウクライナ代表の公式登録(記録)から除外する。
・ウクライナの領土でサッカー活動に従事することを生涯禁止する。

 代表記録からの抹消や母国でのサッカー活動の禁止など、極めて重い処分となった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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