スポンサー撤退、銀行口座凍結と経営に暗雲のチェルシー、クラブ売却に英国政府が特別措置へ

2022年03月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

「政府に条件変更を求めることができる」

激震が走っているチェルシー。今後は選手の去就にも大きな影響が懸念される。(C)Getty Images

 現地時間3月10日、イギリス政府は、ロシアのウクライナに対する軍事的侵攻を受けて、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と近いとされる、チェルシーのロシア人オーナー、ロマン・アブラモビッチ氏の資産凍結および渡航禁止措置などの制裁を科すと発表した。

 同氏が所有するチェルシーは、政府に管理下に入り、経済的な利益を得ることができなくなった。そのため、選手との契約更新や新契約の締結、新たなチケットの販売などは禁止され、アブラモビッチ氏が目指していたクラブ売却プロセスも停止している。

 さらに、メインスポンサーである英通信企業『Three』はクラブとの年間4000万ポンドの提携を停止すると表明し、金融グループ『Barclays』がクラブ名義の口座およびクレジットカードの利用を停止すると発表。ナイキも撤退の動きを見せるなど、クラブ経営や運営に対する影響は広がっていくばかりだ。

 そんななか、英国政府のデジタル技術省のクリス・フィルプ大臣が、ロシアのオリガルヒ(アブラモビッチ氏を含む新興財閥)が利益を得ない売却案については「政府に相談することが許される」と特別な措置がとられると発言した。11日付けで英紙『The Guardian』が報じた。
 
「現状では売却は許可されないが、もし買い手が現われたら、その人物とクラブは政府に働きかけて、売却を可能にする条件の変更を求めることができる。ただ、はっきり言って、アブラモビッチが所有する銀行口座に利益が入るような提案は受け入れられないだろう」 

 また、同紙は早くも新たなオーナー候補にも言及。イギリスの不動産王ニック・キャンディ、スイスの大富豪ハンスイェルク・ウィス、アメリカの富豪でクリスタルパレス株主のジョシュ・ハリス、メジャーリーグのロサンゼルス・ドジャースの一部オーナーであるトッド・ベーリーらの名を挙げた。このうち、キャンディの広報担当がメディアに対して「入札の検討をしている」とコメントしたと伝えた。

「彼(キャンディ)は入札に興味を持っている。今はすべてのチェルシー・ファンにとって不安の時だ。我々は、必要なのはサッカークラブのオーナーではなく、ファンやコミュニティのためにクラブを管理する人物だと考える」

 チェルシーの首脳部は木曜日から政府と協議を続け、週明けまで続く見込みだという。もし特別措置が認められ、クラブが売却された場合、売上金は凍結もしくは慈善基金に回される可能性があるようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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