「戦争の狂気のなか彼らは練習場で抱き合った」ウクライナとロシアの両代表選手の振る舞いを、アタランタの同僚たちが称賛「感動した」

2022年03月02日 サッカーダイジェストWeb編集部

「彼らの間にあるのは友情だけだ」

アタランタにはロシア代表ミランチュク(左)とウクライナ代表マリノフスキ(右)が在籍している。 (C)Getty Images

 世界が悲しむなかで、彼らの振る舞いは希望の光だ。

 2月28日、アタランタのマッテオ・ペッシーナはインスタグラムで、ウクライナ人のルスラン・マリノフスキとロシア人のアレクセイ・ミランチュクがチーム内で変わらぬ関係にあると明かし、ウクライナでの戦争を止めるべきだと訴えた。

 ペッシーナは「僕らのロッカールームには、マリノフスキとミランチュクという、戦争に関係している両国の国民がいる」と綴っている。

「戦争の狂気がロシアとウクライナを対立させている中で、練習場で彼らは抱き合った。僕たちも彼らと抱き合った。この難しい瞬間でも、素晴らしい家族のように、僕たちはそうし続ける。これが、人間の狂気が引き裂こうとすることを団結させるサッカーだ。ウクライナでの戦争をやめてくれ!」

 マリノフスキは先日、ヨーロッパリーグのオリンピアコス戦で2得点を挙げ、ユニフォームの下のTシャツに書いた「NO WAR IN UKRAINE」のメッセージを世界に示し、両手を合わせた。

【画像】反戦を訴えるゴールセレブレーションをするウクライナ代表マリノフスキ
 そのマリノフスキが試合前のアップ中に負傷して出られなかった2月28日のセリエA第27節サンプドリア戦で、負傷から復帰したミランチュクは途中出場を果たすと、終了間際にダメ押しとなる4点目のゴールを挙げ、4-0の大勝に花を添えた。

 イタリア衛星放送『Sky Sport』によると、アタランタのマルテン・デローンは「難しい日々だ。特にルスランは苦しんでいる。家族が国にいるからだ。僕らは彼を助けようとしている」と述べた。

「ミランチュクは素晴らしいチームメイトだ。彼らは話しており、素晴らしい友人同士だよ。2022年にまだ戦争だなんて訳が分からない。だが、彼らの間にあるのは友情だけだ。僕ら全員が助けようとしている。ペッシーナがとてもうまく状況を説明した。チームであり、チームメイトであることの意味を説明してくれた。とても素晴らしい投稿だった。読んで感動した」

 また、ウンベルト・マリーノGMは「ミランチュクの得点は意義深い」と話している。

「ペッシーナの投稿は状況や2人の関係を反映している。2人とも本当に良い人たちなんだ。片方は外交的でもう片方はシャイだけど、互いに素晴らしい敬意を払ってこの状況を過ごしている。欧州で我々だけだと思うが、ウチにはウクライナ人選手もロシア人選手もいる。だがこれこそが、この両国民が共存できることを示しているんだ」

 心を痛めながら互いに敬意を払うマリノフスキとミランチュクが喜びの抱擁を交わせるときが、一刻も早く訪れることを願うばかりだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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