神戸ホーム開幕戦の“無失点”は評価すべき? 長いシーズンを考えれば当然のアプローチだが――

2022年02月27日 白井邦彦

「2試合失点していたなかでゼロに抑えたことは収穫」

神戸は福岡を相手にスコアレスドロー。イニエスタを中心にボールを支配したが、決定機を決め切れず無得点に終わった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 ヴィッセル神戸は、J1リーグ第2節でアビスパ福岡をホームに迎え、0-0で勝点1を分け合った。

 神戸の三浦淳寛監督は「決定的なシーンを決めていればなというのがあります」としながらも、「(開幕節から)2試合失点していたなかでゼロに抑えたことは収穫だと思う」と手応えを口にした。

 好セーブを連発したGK前川黛也も「ディフェンスラインで声をかけ合い、耐えるところを耐え、力強く前に押し出していくところをハッキリできたことが、無失点につながったのかなと思う」と振り返った。

 もちろん、無失点に対する評価に異論はない。試合内容でも、しっかりと守ったうえで後方から丁寧にビルドアップ。あるいは効果的なロングフィードで福岡のディフェンスラインを下げさせながら相手陣内に押し込む時間帯も作れていた。
 
 大迫勇也の惜しいシュートや、酒井高徳のアーリークロスに武藤嘉紀が触ればゴールというシーンもあった。また、アンドレス・イニエスタのスルーパスに抜け出した佐々木大樹が決定機をものにしていれば、違ったスコアになっていたかもしれない。

 ただ、結果的に両チームの評価対象が「勝点1」の捉え方になってしまった点に、少しの違和感を抱いてしまう。アウェーの福岡にとって今回の勝点1は価値があるかもしれないが、ホーム開幕戦の神戸が「無失点」に評価のベクトルを向けるのは少し違う気がしてしまう。

 この試合では、イニエスタが今季初先発を果たしている。巧みなボールコントロールや質の高いパスでスタジアムの2万人近い観客を魅了し続けた。25分あたりからは完全に神戸がボールを支配し、ピッチはイニエスタを中心とした神戸の独壇場になりつつあった。

 いつゴールが生まれてもおかしくない雰囲気だったが、前半のシュートはわずか3本に止まった。決定機らしいシーンは、37分に武藤のスルーパスに大迫が抜け出し、右足で対角へシュートを放ったあの場面くらいだった。
 

次ページ得点が奪えなかったのは福岡にとって想定内だったから

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