【番記者“激薦”|FC東京】怪我からの完全復活を期す紺野和也と岡崎慎。「控え」の立場から下克上を狙う

2022年02月24日 唐沢裕亮

18歳の新人・松木が話題をさらうだろうが…

長期の怪我から復帰した紺野(左)と岡崎(右)。アルベル監督のサッカーでより特長が生きそうな2人だ。(C)SOCCER DIGEST

 ついに幕を開けた今季のJ1リーグ。それぞれのチームとしての戦いぶりが気になる一方、ではその中で注目すべき選手は誰か――番記者が独自の観点で必見プレーヤーをピックアップし、その魅力を伝える。今回はFC東京の紺野和也と岡崎慎を紹介する。

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 アルベル監督が率いる新生FC東京の象徴として、18歳の新人・松木玖生が話題をさらうだろうが、あえて今季怪我からの完全復活を期す紺野和也と岡崎慎を推したい。後方からしっかりつないで攻めるアルベル監督のサッカーでより特長が生きそうな2人は、ともにこれまで長期間怪我に泣き、そこから這い上がって今季を迎えた。「控え」の立場から下克上を狙う。

 左膝前十字靱帯損傷から再起を図るドリブラー紺野の注目ポイントは、威力を増した左足だ。長期離脱を強いられた昨季はリハビリ中も「腐らずやってきた」と筋力強化に成功。川崎との開幕戦では永井謙佑に代わって87分から途中出場すると、さっそくカットインからポスト直撃の左足ミドルシュートでアピールに成功した。

 細かいタッチでサイドから1対1を仕掛けていくドリブルが武器の24歳のレフティは今季、ポゼッション重視のチームで攻撃のアクセントとなるだけでなく、フィニッシャーとしての役割も求められる。持ち味のドリブルに加えて強烈な左足も武器になりそうだ。
 
 一方の岡崎は「全速力で走れない」というほどだった膝の状態と向き合う日々を経て、今季開幕戦でベンチ入り。最終ラインが主戦場となるが、アンカーもこなせる強みがある。足もとの技術に優れる点はアルベル監督の志向するサッカーに合う。下部組織からトップに昇格し、東京五輪代表候補の経験もあるクラブ生え抜きのエリートもプロ6年目。自身の特長とチームのスタイルがマッチした今季に懸ける思いも強いはずだ。

 U-22代表で準優勝した2019年のトゥーロン国際大会では、決勝までの15日間で全5試合にフル出場するタフネスぶりで、万全なら「実は連戦がきくタイプ」と本人も語る。得意のビルドアップで違いを見せて、厳しいポジション争いに食い込めるか。「気持ちが見えないほう」と自覚するように、あまり感情を表に出すタイプではないが、昨季に続きプロ生活の正念場と位置付ける今季はピッチでハートを前面に出す姿を見てみたい。

取材・文●唐沢裕亮(東京新聞)

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