【バイタルエリアの仕事人】Vol.13 明神智和|ガンバ大阪“黄金の中盤”は何が凄かったのか?

2022年02月01日 渡邊裕樹(サッカーダイジェストWeb編集部)

守備ではエリアによって判断を変えることが重要

明神氏は、バイタルエリアを考えた時に、ガンバ大阪時代の経験が一番大きかったと振り返った。(C)SOCCER DIGEST

 攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第13回は、元日本代表の明神智和氏だ。

 シドニー五輪や日韓ワールドカップでも活躍したまさに"仕事人"と呼ぶにふさわしいボランチは、重要局面で何を考えてプレーしてきたのか。

「影響が大きかった」という"黄金の中盤"を形成したガンバ大阪時代の恩師やチームメイトから感じたこととは――。前編ではプレーヤー明神智和として、その豊富な経験を明かしてくれた。

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 僕のプレースタイルもありますが、真っ先にイメージしたのは守備の部分。特にバイタルエリアを空けない、相手に使わせないことは常に意識していました。

 僕らボランチとしては、背後のスペースにボールを入れられてしまうと、ゴールに向かって相手ボールに対して後ろから守備をしなければならない。CBが対応に出るとペナルティエリア内にスペースが空いてしまう。CBが出ていかないとドリブルで侵入されてしまう。そうならないためにも、まずはボールを入れさせないこと、たとえバイタルエリアを使われても、コンパクトな距離を保つことを意識しました。

 相手FWへのパスコースを切ることで、縦パスを通されないようにし、相手が外に展開することを増やす。外に出させれば、ゴールへの距離が遠くなるので、失点の確率を減らすことができます。
 
 もうひとつ意識していたのが、エリアによって判断すること。自陣のゴール前のいわゆるファイナルサードと言われるようなエリアでは、ゴールを守る、つまりスペースを空けない守備をしますが、中盤のエリアではボールを奪うことも意識しました。ほんの少しだけ縦パスのコースを空けて、わざとそこへのパスを誘いインターセプトを狙います。状況判断や駆け引きは中盤のポジションでは非常に重要なポイントです。

 同時に周囲とのコミュニケーションも大切です。ボランチでは、背後にいる相手FWを見たり、感じたりしながら、相手がボールを動かす度に自分のポジションを小まめに修正します。その際に、背後の味方CBからのコーチングも受けます。もう少し右とか、あと一歩後ろとか、そういう声を聴きながら動くこともあります。

 対戦相手として厄介だったのは、パッと思い浮かぶのは大久保嘉人選手。背後への動き出しも上手く、足下の技術もある。さらに下りてきて起点を作られ、そこから展開されることもありました。複数の選択肢を持ち、得点力のある選手には怖さも感じました。
 

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