【名古屋】魔の時間帯を遮断した、永井“らしさ”が凝縮されたワンプレー

2015年07月26日 橋本啓(サッカーダイジェスト)

失点直後のプレーが嫌なムードを払拭する。

ゴールは奪えずも、流れを引き寄せた永井の働きぶりは目を見張るものがあった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

「(アシストした)川又からお中元貰わないとね(笑)」
 
 自らのゴールはなくてもいつになく永井の口調が滑らかだったのは、勝利に貢献した自信の現われだったように映った。
 
 2シャドーの一角で先発した浦和戦は、開始5分に川又とのコンビでチャンスを作ったもののその後は劣勢を強いられ、ボールに触る回数は限られた。19分にはオウンゴールで失点し、ピッチを幅広く活用した浦和のパスワークに翻弄され続け、上手く攻撃に転じられない。まさに「魔の時間帯」にはまりかけていた。
 
 そんな嫌なムードを払拭したのが、直後に永井が見せたワンプレーだ。ハーフウェーライン付近でボールを受けると、一気にドリブルで仕掛け那須との1対1の勝負に挑む。「流れが悪かったし、無理やりにでも行こう」(永井)と、左サイドを粘り強く突破し中央へ折り返す。このボールをゴール前に詰めていた川又が頭で押し込み、試合を振り出しに戻した。
 
 さらにその2分後には、自慢の"俊足"で名古屋にアドバンテージをもたらす。小屋松のスルーパスに抜け出すと、森脇と激しく競り合いながら「(GKとの)1対1に持ち込むつもり」(永井)で突破を図る。これを堪らずファウルで阻止した森脇を一発退場へと追いやった。

次ページ同点ゴールを導いた過程にこそ価値は見出せる。

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