【柏】工藤壮人――エースナンバー9の新たなスタート

2015年07月22日 小田智史(サッカーダイジェスト)

自分のカラーを打ち出して奪った川崎戦のメモリアル弾。

川崎戦では、華麗な連係からペナルティエリア内に侵入すると、GKの股を抜く技ありシュート。北嶋秀朗を抜くJ1通算53ゴール目は、約1年半ぶりのリーグ戦連発となった。 写真:佐藤 明(サッカーダイジェスト写真部)

「ここからが、レイソルの9番としての新たなスタートなんじゃないか」。
 
 工藤壮人は北嶋秀朗(現・熊本コーチ/元・柏ほか)が持つクラブのJ1通算得点を塗り替えた川崎戦の翌日、尊敬する先輩とそんな言葉を交わしたという。
 
「抜かれるべきヤツに(記録を)抜かれる喜び、分かるかなぁ。工藤、心からおめでとう!」と北嶋がツイッターに綴った旨と同様の言葉を電話口でかけられ、「感動するほど嬉しい」(工藤)想いが工藤の身体を懸け巡った。だが、今の自分にはまだ、北嶋が見せてきたような大きな存在感はない。自然と「自分にはまだ追いかけるべきものがある」と思えた。
 
 3節・川崎戦のゴールで、今季リーグ戦初の2戦連発を記録。実に、2013年11月以来、約1年半ぶりである。そのうえで、2節・横浜戦のゴールが、心に大きなゆとりをもたらしていた。「FWとして、ゴールを積み重ねることで『また次の点が取れるんじゃないか』と余裕が生まれてくる。マリノス戦のゴールは個人的にも大きかった」と工藤は振り返る。
 
 また、第1ステージで攻撃を牽引していたレアンドロ(神戸に移籍)に代わってCFに入ると、さっそく自分なりのカラーを打ち出してアピールした。例えば、レアンドロは中盤に降りてきて起点となりつつ、他のFWにスペースを作ってチャンスを創出していた。対する工藤は、「むやみに中盤に降りず、最終ラインのところで駆け引きして、いかに相手を押し下げられるか、中盤の選手にスペースを作れるか」を意識してプレーしているという。その好例が、川崎戦のゴールである。
 
「ゴールの場面は上手く最終ラインと駆け引きすることで、クリス(クリスティアーノ)と(小林)祐介がバイタルでスペースを作り合って最終的にパスをくれた。中盤の選手がどれだけ気持ち良くプレーできるかによって、僕へのパスにもつながってくる。バイタルのところは中盤の選手にある程度任せながら、自分はフィニッシュを狙う形が、今は良い方向に進んでいるのかなと」(工藤)

次ページ「ゴールを決めて、(僕がCFだと)他の選手を納得させられればいい」

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