取るか取られるか。斬るか斬られるか。“健太グランパス”は挑みかかるような戦いでタイトルを掴みに行く

2022年01月08日 今井雄一朗

名古屋は「一度は指揮してみたい」クラブだった

名古屋の新監督に就任した長谷川健太。会見で歴戦の名将は「優勝を期待されていると思う」と力強く語った。(C)N.G.E.

 力強く、豪快な"所信表明"だった。

 2022年シーズンから名古屋グランパスの指揮を執る長谷川健太監督が1月7日、新本拠地となる豊田スタジアムで就任記者会見を行ない、「自分が就任したということは、優勝ということを期待されていると思っている」と堂々の宣言。2010年以来のリーグ優勝を含む、2年連続のタイトル獲得を目標に掲げ、名古屋での第一歩を踏み出した。

 誰もが注目する新チームの構想も明確に掲げられた。昨季38試合で30失点に抑え込んだ堅守をうまく維持しつつ、「38試合で44得点というのはちょっと寂しすぎる」と攻撃力アップを変革の象徴として位置付ける。「前線に二桁以上を獲るような選手が2~3人いないと、チームで50得点以上はなかなか達成するのは難しい」。優勝争いには50得点を超えるチーム総得点が必要と考える歴戦の名将は、チームとしての形だけでなく、個人的な得点技術、感覚の部分にもアプローチしていくと始動後の練習メニューを画策する。

 具体的なチームのスタイルについては選手を見てからと明言を避けたが、自分が指揮するチームに求める基本的な資質、能力は変わらない。「アグレッシブ」「ダイナミック」「インテンシティ」といったこれまでの長谷川監督が率いてきたチームのイメージそのままに、名古屋の選手たちの特徴をプラスアルファとしていく方針だ。

 若手育成にも定評ある監督だが、「頑張っている選手には若手でもチャンスを与えたい」というのが実際の感覚で、「そのチャンスをものにするかは選手の力」とシビアな面も垣間見せる。世代交代という言葉が独り歩きするなか、名古屋は純粋な競争の中で試合に出る権利を得ていく環境を整備し、チーム力の増強を図る。
 
 16年目のベテラン指揮官らしい軽妙さも会見では見せた。優勝を狙ううえでは避けて通れない"打倒川崎"という質問には「川崎が弱くなってくれることを願うしかないかな」と笑い、「名古屋は非常に川崎との相性が良くて、チームが持っている"運"に自分自身も乗っかっていければ」と切り返した。

 監督就任のオファーについても、「『本当にオレで良いんですか?』と電話口で言ったのを覚えています」とニヤリ。2010年、自身が指揮する清水の優勝争いを阻まれた名古屋の強さに、「一度は指揮してみたい」と憧れもあったクラブの監督となり、長谷川監督もまた意欲が湧きあがっているようにも見えた。
 

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