モウリーニョからは糾弾…「シャイで淡白」と言われたベンゼマがマドリーの新たな“バンディエーラ”に【現地発】

2022年01月05日 エル・パイス紙

ペレス会長の気まぐれで獲得した選手という負のレッテルを

いまやマドリー不動のエースとなったベンゼマ。(C)Getty Images

 一般的に34歳はサッカー選手にとって衰えを見せる年齢だ。しかし12月にその年齢に達したカリム・ベンゼマはむしろキャリアの絶頂期を迎え、マドリーの中心選手にして、ラ・リーガの顔として君臨している。

 クリスチアーノ・ロナウドとリオネル・メッシがそれぞれレアル・マドリーとバルセロナを去った時、ベンゼマが2人の後釜に座ると予想していた者は少なかった。クリスマス休暇前のアスレティック・ビルバオ戦でサン・マメスの観衆が拍手喝采を送ったのも、そうした偉大な功績を残す選手へのサッカーファンの総意とも解釈することができる。

 ベンゼマ自身が変わったのか、それとも我々の彼に対する印象が変わったのか。ベンゼマの信奉者は、彼は彼のままだと答えるだろうし、かつてのアンチは、ボールへの執着、リーダーシップ、貪欲さが増した結果と意見するだろう。

 ベンゼマがマドリーに入団してから12年以上が経過した。その2009年夏はクリスチアーノをはじめカカ、シャビ・アロンソも同時に加入するという史上空前の大型補強が敢行されたが、その中でベンゼマはフロレンティーノ・ペレス会長の気まぐれで獲得した選手という負のレッテルを貼られ、キャリアの幾多の局面において、ナイフのような偏見に満ちた環境に晒された。

 元々、自分を大きく見せようという意識が世界一希薄な選手であるが、その苦しい時期においても、ありのままの自分を表現するという姿勢を貫き続けた。最近、その頃の重苦しい雰囲気がなくなったと言われる。実際それは事実だろうが、日々、辛辣なコメントを浴びせられ、とりわけジョゼ・モウリーニョ監督時代には当の指揮官がその急先鋒に立っていた。苦悩から解放されなかったもやむを得ない。

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 このフランス代表FWへの負のレッテルはなかなか消えなかった。活躍を見せてもすぐに忘れ去られた。そんな中でも評価されていたのが、クリスチアーノのパートナーとしての働きだったが、それも本来のゴールストライカーとしての貢献度の低さの裏返しでもあった。

 そのクリスチアーノの退団がベンゼマを抑圧から解放したかどうかは、意見が分かれるところだろう。一つ確なのは、クリスチアーノの退団時にガレス・ベイルに託され、その1年後に加入したエデン・アザールに期待されたチームのバンディエーラとしての役割を現在ベンゼマが担っていることだ。

 かつてシャイで淡白と言われたベンゼマは、クリスチアーノの退団から3年半の歳月を経てマドリーの不動のエースにのし上がった。そのプレーは円熟の域に達し、負のレッテルは完全にプラスに転じた。マドリーには優秀な選手は他にもいる。しかし近年のマドリーがベンゼマを中心に回っていることに異論を挟む者はもはや誰もいない。

文●サンティアゴ・セグロラ
翻訳●下村正幸

※『サッカーダイジェストWEB』では日本独占契約に基づいて『エル・パイス』紙のコラム・記事・インタビューを翻訳配信しています。

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