全国の舞台で再会! 関東一の池田健人が“旧友”チェイス・アンリの想像を超えた成長に刺激【選手権2回戦】

2022年01月01日 松尾祐希

「本当にもうすごいなという一言しかない」

関東一の池田が、全国の舞台で“旧友”との再会を果たした。写真:田中研治

[高校選手権2回戦]尚志0(5PK6)0関東一/12月31日(金)/県立柏の葉公園総合競技場

 185センチの高さと超人的な跳躍力を持つ規格外のCBチェイス・アンリ(3年)に対し、セットプレー時に関東一がとった策はマンツーマンディフェンスだった。ほかの選手にはゾーンで対応したのだが、チェイスだけにはチームで最もサイズがあるキャプテンのCB池田健人(3年)がマークを請け負った。

 CK、FK、ロングスローなどのたびに、池田はゴール前に上がってくるチェイスのもとへ向かった。何度も競り合ったが、まるで歯が立たない。自分が先に飛んだとしても、覆い被さるようにして自分の上から何度もヘディングで叩かれた。

「セットプレーのときは自分がチェイス・アンリ選手についていたんですけど、全部負けてしまった」

 小野貴裕監督も「セットプレーで負けるのは仕方ない」と話していたが、空中戦の攻防では一度として勝てなかった。そのほかのプレーでも、池田はチェイスの凄さを思い知らされた。

「ずっとマンツーマンでついていたのですが、片手で飛ばされて……。なるべく先にジャンプしようと思っていたけど、それでも上から叩かれた。本当にもう凄いなという一言しかない」
 
 ただ、それ以上に驚いたことがある。「もともと競り合いは強かったけど、足もとの技術が成長していた」と話した通り、中学時代からは想像できない選手になっていたということだ。

 池田は一度だけチェイスと同じチームでプレーした経験を持つ。それが中学3年時に行なわれた街クラブが集まるトレセン活動だ。

 当時のチェイスは本格的にサッカーを始めて2年強で、まだまだ未完成の選手。トレセンでも試合の最後の15分に起用されるような選手で、今のような圧倒的な存在感は放っていなかった。しかしこの3年間で成長し、飛び級でU-22日本代表に選ばれるまでに飛躍。池田は旧友に刺激をもらい、大会前から「悔しい気持ちもあるので、選手権の舞台で対戦してみたい」と話していた。

 だからこそ、池田にとってチェイスとのマッチアップは特別なものだった。チームは勝利したものの、旧友との直接対決は完敗。それでも全国の舞台で再会できたことは、一生忘れられない出来事だ。

 試合後、普段からSNSなどでも連絡を取っているチェイスから、「頑張ってくれ」と声を掛けられた。池田が返した言葉は「ありがとう」。かつての仲間からもらったエールは、次なる戦いに向けてのエネルギーとなったのは間違いない。チーム初のベスト16進出を果たし、見据えるのは国立の舞台。チェイスの想いも背負い、池田は最後の冬を駆け抜ける。

取材・文●松尾祐希(フリーライター)

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