掲げられた「13」の腕章。「自分たちでやるしかない」。主将不在の高川学園が魂の4発快勝【選手権】

2021年12月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「オクショウのためにも点を取れてよかった」(中山)

先制点を挙げた林(10番)が、大会直前の怪我でピッチに立てない奥野主将の背番号「13」が記された腕章を掲げる。選手たちは気持ちをひとつにして戦い、星稜との1回戦を4-2で制した。写真:滝川敏之

[高校選手権1回戦]星稜 2-4 高川学園/12月29日(水)/ニッパツ三ツ沢球技場

 記念すべき第100回目を迎えた今年度の全国高校サッカー選手権大会。12月28日、新国立での開幕戦の前には開会式が行なわれた。

 選手宣誓の大役を務め上げたのは、高川学園のキャプテン奥野奨太。ただ、大会1週間前に全治5か月の大怪我を負ってしまい、足を引きずりながらマイクの前に立った。

 その翌日、高川学園は1回戦で星稜と対戦。激しい点の取り合いとなった白熱のゲームを4-2で制し、2回戦に駒を進めた。

 負けるわけにはいかなかった。この舞台に立ちたくても立つことができない、大切な仲間のためにも。

 星稜戦で2得点を挙げた林晴己は次のように試合を振り返る。

「選手権直前にキャプテンが怪我をしてしまって、試合に出られないことが決まってしまった。自分たちでやるしかないと、そこでひとつになって、キャプテンのためにも、絶対に勝とうっていう気持ちでひとつになっていたので。この1試合、その気持ちが出たかなと思います」

 前半8分に先制点を決めた林が、奥野の背番号「13」が記された黄色い腕章を掲げる。「男の中漢オクノ」「お前を国立へ」「後はまかせろ」の文字が並ぶ。
 
 同じく2得点の中山桂吾も、特別な想いで戦っていた。

「昨日もホテルで、3年生でミーティングをして、オクショウ(奥野)から言葉があって。チームが一丸となって、オクショウのためにも、というのがあった。自分も、チームのためですけど、オクショウのためにも点を取れてよかったです」

 結束力の強さには定評のある高川学園。頼れる主将と同じピッチで一緒にプレーすることはできないが、揺るぎない絆で快進撃を誓う。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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