「セルビア全体に屈辱を与えた、恥だ」浅野拓磨への給与未払いを選手組合会長が糾弾!「アサノの行為は陰湿ではない」【2021総集編】

2021年12月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

「浅野は外国人選手の特権を利用しただけ」

浅野の契約解除問題でセルビアのサッカー界が揺れた。(C)Getty Images

 今年も残すところ10日を切った。本稿では、2021年のサッカー界における名場面を『サッカーダイジェストWeb』のヒット記事で振り返る。今回は、昨シーズン終了直前に発生した浅野拓磨の給与未払いによる「契約解除問題」についての記事を再掲する。一部の選手から非難の声があがるなか……。

記事初掲載:2021年5月6日

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 セルビアで小さくない話題となっているのが、浅野拓磨の契約解除問題だ。

 チームトップの18ゴールを挙げるなど、強豪パルチザンの主軸としてプレーしていた浅野は5月2日、給料未払いやそれに対する不誠実な対応により、クラブからの「リスペクトを感じられなくなった」として、契約を解除したことを発表した。

 だが、クラブ側は「契約違反である」として訴訟沙汰にする意向を示唆。チームメイトからも「裏切られた」と批判の声があがるなど、大騒動となっている。

 そんななか、そもそもの発端となったパルチザンの給与遅延を批判したのが、セルビアのメディア『DANAS』だ。

 まず同メディアは、「パルチザンの関係者全員が、アサノの退団を"陰湿な行為"であるとしたが、本当の意味で日本人の権利に異議を唱えることができる人はほとんどいない。外国人選手に適用されるFIFAの規則は明確だ」とし、浅野の振る舞いの正当性を指摘した。

「2度給料が遅れた場合、選手はクラブに公式のリクエストを送り、15日以内に回答を受け取る権利がある。そして、その答にかかわらず、アサノがそうしたように、一方的に契約解除を通知する権利もあるのだ」

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 さらに、「道徳的な観点から、イースターに退団したことは一見欠陥のある行為だったかもしれない。一方で、誰にとっても、どんな仕事にとっても、稼いだ給料が遅れることについて、道徳的なことを言うのは難しい」とし、セルビアの選手組合会長であるミルコ・ポレディカ氏のコメントを掲載している。

「アサノがやったことは仕事であり、陰湿な行為ではない。彼は補償なしでクラブを去る理由があることに気づき、そうした。パルチザンは未払い分を返済するかもしれないが、夏に別のクラブが約300万ユーロ(約3億7500万円)の補償金(移籍金)を支払うよりも、この機会を利用してフリーで出て行くほうがよいと思ったのだろう」

 記事は、浅野は給与が遅れた場合に頼る人すらいない外国人選手に定められている"特権"を利用しただけだと綴り、現役時代はDFだったポレディカ氏の「この件に対する最大の責任は、パルチザンのビジネスディレクターにある」というコメントも紹介している。

「パルチザンは自分たちだけでなく、セルビアのサッカー全体にも屈辱を与えた。ヨーロッパのカップ戦で定期的にプレーしている素晴らしい伝統を持つ立派なクラブであるパルチザンにとって、前例のない恥だ。セルビアはプレーヤーの支払いに問題があるためという悪い評判が立ち、今となっては状況を悪化させるだけだ。パルチザンは、大きな問題を引き起こした。適切な支払いをしていないという評判のあるクラブにサインする際、それなりに有名な海外の選手なら、誰でも考えるだろう。それは計り知れないダメージだ」

 浅野の契約解除に端を発したこの問題は、セルビア・サッカー界全体を巻き込んでいるようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
 

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