【セルジオ越後】確かに槙野はお祭り男! でもDFの役目を果たせてないし戦力外になったのも事実。本質を見失ってはいけないよ

2021年12月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

残り数分の場面で決め切った槙野は確かに「エンターテイナー」だった

浦和を天皇杯優勝、そしてACL出場に導く決勝ゴールを挙げた槙野。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 天皇杯は劇的な展開で浦和レッズが優勝したね。1-0のままでレッズが逃げ切るかと思ったけど、大分トリニータも最後に粘りを見せてすごくドラマチックな試合になった。決勝点を決めたのが、今季限りで退団する槙野だったからクライマックスとしては、これ以上ないストーリーが生まれたと言えるだろうね。

 それにしても槙野の勝負強さには驚かされるよ。1点差のまま試合を閉めることを託されて投入されたと思うけど、追いつかれてしまったなかで、そのまま流れはトリニータに傾いてもおかしくはなかった。レッズとすれば、ユンカーを下げてしまい、関根や小泉といったアタッカーたちも交代させてしまっていたから、決めるとしたらセットプレーしかなかっただろう。

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 そんななかで残り数分の場面で決め切った槙野は確かに「エンターテイナー」だったよ。スタジアムのサポーターだって、コロナ禍だから黙ってろと言われても、騒いでしまうだろうね。

 その槙野がヴィッセルに移籍するという噂だね。ヴィッセルは、ベルギー代表DFのフェルマーレンが退団したことでセンターバックの補強が必要になっていたという。ただ、僕は槙野が入ったからと言って、ヴィッセルにとってそれがチーム力をアップさせるような補強になったとは今のところ思えないよ。

 確かに天皇杯では決勝弾でレッズでの華々しいラストを飾ってみせ、存在感は示したけど、それはあくまで「お祭り男」としての評価。DFとしては90分戦ってゼロに抑えたわけでもないし、ましてクローザーの役目も果たせていない。「エンターテイナー」「お祭り男」の部分だけ見過ぎて、本質を見失ってはいけない。あくまで、彼は戦力外となった選手であって、過剰な期待をかけられるような立場じゃない。一から周囲の信頼を勝ち取っていくべき状況なのは、槙野自身だって分かっているはずだよ。

 それにヴィッセルとしても、チャンスがあれば現役のベルギー代表DFに代わるような大物外国人を獲りたいはず。ただし、今はコロナの恐怖があって、2021年シーズンの序盤戦も助っ人たちが入国できず苦しい台所事情を強いられたチームもあったからね。そういう意味では、今季の移籍市場も国内の動きがより活発になるんじゃないかな。
 

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