「運を引き寄せる力は人よりあると思うけど…」お祭り男・槙野智章が“最後の宿題”を達成できた2つの要因

2021年12月19日 サッカーダイジェストWeb編集部

「子供の頃からずっと…」

最後の最後に決勝点を奪った槙野。国立はまさに槙野劇場と化した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 全てを持って行ったのは、今季限りでの退団が決まっている"お祭り男"だった。

 浦和レッズは12月19日、天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会の決勝で、大分トリニータと国立競技場で対戦。開始6分に関根貴大のラストパスから江坂任が先制点を挙げるも、以降はチャンスを迎えながら追加点を奪えずにいると、土壇場の90分にセットプレーの流れから、ペレイラにヘッドで同点ゴールを叩き込まれてしまう。

 それでも延長突入かと思われた93分。83分に投入され、キャプテンマークを巻いた槙野智章が、CKのこぼれ球に反応した柴戸海のシュートにヘッドで触りコースを変え、劇的な決勝点を奪取。前身の三菱重工時代を含め8度目、浦和レッズとしては4度目の大会制覇に導いた。

 ゴールを決めるや、ユニホームを脱いでサポーターの元へ向かい、スタンドを大興奮の渦に巻き込んだ背番号5は、試合後のフラッシュインタビューで「お祭り男、エンターテイナーですから、全部持っていきました!」と声高に答え、場内をさらに盛り上げた。

 そして歓喜のトロフィーリフト、サポーターへの挨拶も一段落して臨んだ試合後会見では、「携帯が鳴りやまない」と反響の大きさを訴えると、得点については運もありながら、その大部分は日々の努力の賜物だと、力強くこう語っている。
 
「確かに運を引き寄せる力は人よりはあるかなと思いますけど、最後にやらなければいけないことをしっかり整理して、日々のトレーニングを行なってきました。毎日の練習をとにかく100%でやること。チームの雰囲気をしっかりと自分が作り出すこと。練習が終わった後に誰よりもシュート練習をして、子供の頃からずっとあるゴールを獲りたいという思いを、この年になっても思い続けるというのをひたすらやってきた成果かなと思っています」

 結果を残すためには、自身の努力のほかにもうひとつ欠かせないものがあった。槙野は、キックオフ前には圧巻のコレオで奮い立たせ、試合が始まれば90分通して手拍子でエールを送り続けたサポーターへ感謝の思いも伝えている。

「今日も素晴らしい雰囲気を作っていただきました。あのゴールも僕のゴールと言うより、来てくれた方たちが念じたものが僕に乗り移ったと言っても過言ではないです」

 浦和はリーグ戦では6位に終わり、アジア・チャンピオンズリーグ出場権を獲得することはできなかったが、天皇杯のタイトルをもってアジアへの扉を最後にこじ開けた。「最後の宿題は達成できた」と胸を張る34歳の表情は清々しかった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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