「大分を1年でもう1回上げてくれ」浦和GK西川周作が明かした古巣との約束とは? 「有言実行男」とのATの秘話も

2021年12月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

「僕にとっては本当に夢のような時間でした」

天皇杯優勝後に西川周作が語ったこととは?写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 浦和レッズは12月19日、天皇杯 JFA 第101回全日本サッカー選手権大会の決勝で、大分トリニータと国立競技場で対戦。開始6分に江坂任が先制点を挙げるも、追加点を奪えずにいると、90分にセットプレーの流れからペレイラに同点ゴールを叩き込まれてしまう。

 それでも延長戦に突入かと思われた93分だった。10分前に投入された今季限りでの退団が決まっている槙野智章が、CKのこぼれ球に反応した柴戸海のシュートにヘッドで触りコースを変え、劇的な決勝点をゲット。前身の三菱重工時代を含め8度目の戴冠を果たした。

 西川周作は試合後の会見で「本当に簡単な試合ではなかったですが、最後に有言実行男がやってくれましたね」と声を弾ませ、かつてサンフレッチェ広島でも共闘した盟友、槙野とのアディショナルタイムの秘話を明かしている。

「少し延長がよぎったのですが、そのときに『周ちゃんどうする?この試合ここで終わらせる?』と確認に来て。ちょうど第4審判があと5分とロスタイムを提示していたので、5分あれば何か起きるなと思いながら、マキが点を獲って、それで終わらせようってことは話して。すると彼がやってくれましたね」

 ドラマチックな展開とはいえ、GKとして土壇場で許した同点ゴールへの反省は忘れない。来季はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)を戦う上での課題であり、糧として胸に刻んでいる。
 
「長沢(駿)選手も入れてきたり、高さのある選手が上がってきているなかで、狙い通りにやられてしまったところは反省点。アジアの舞台でそういった戦い方をしてくるチームはたくさんある。ただ、そこを守り切る緊張感を今日経験できたことは良かったですし、来季に繋がる勝利だったんじゃないかなと思います」

 そして、大分県で生まれ育ち、ユースを経て大分でプロデビューを果たした西川は、自身の原点とも言えるクラブへの想いも吐露。日本最高峰の舞台で対戦ができたことに、思わず熱い想いがこみあげた。

「僕にとっては本当に夢のような時間でした。広島、レッズと渡り歩いてますけど、トリニータのサポーターの方は僕を応援し続けてくれていますし、毎回温かい拍手だったり、声援をもらっています。今日国立でピッチに立った時に、逆側にトリニータのサポーターの方がたくさんいるっていうのは本当に嬉しかったですし、なんかこう不思議と言うか、決勝の舞台で当たれるというのは僕にとってはこれ以上ない幸せな時間でしたね」

 そのトリニータは今季J1で18位に沈み、J2への降格が決まった。35歳の守護神は古巣と、ある"約束"を交わしたようだ。

「キャプテンの高木(駿)選手とも話して、大分を1年でもう1回上げてくれっていうところは言いましたし、僕の恩師でもある吉坂(圭介GK)コーチも来年必ず1年で上がってまた対戦できることを楽しみにしていると言ってくれたので、僕自身もしっかり頑張っていきたい。またトリニータと対戦することを僕も楽しみにしています」

 西川自身も今季は一時、後輩の鈴木彩艶にポジションを譲り、我慢の日々を過ごした。そうした苦難も乗り越え掴んだタイトルとACL出場権は、背番号1にさらなる自信と成長意欲を与えるはずだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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