「チョウさんとともに日本一へ」は叶わず…プロ内定者10名を抱えるスター軍団・流通経済大の誤算と今季のインパクト

2021年12月19日 安藤隆人

ボランチの安居が負傷欠場…今季の成長株CBの家泉も負傷交代に

浦和入団内定の宮本の同点PKで一時は追いついたが、流経大が準決勝で惜敗。写真:徳原隆元

[インカレ準決勝]流通経済大1-2阪南大/12月18日(土)/NACK

 関東大学リーグ1部において、奇跡とも言える逆転優勝を果たした流通経済大。GK鹿野修平(いわきFC内定)、DF佐々木旭(川崎フロンターレ内定)、家泉怜衣(いわき内定)、宮本優太(浦和レッズ内定)、MF安居海渡(浦和内定)、菊地泰智と佐藤響(ともにサガン鳥栖)、仙波大志と満田誠(ともにサンフレッチェ広島)、永井颯太(いわき内定)と実に10人のJ内定選手を抱えるスター軍団は、インカレでも優勝候補ナンバーワンだった。

【インカレ準決勝 PHOTO】流通経済大 1-2 阪南大|阪南大が延長戦を制し決勝へ進出
 加えて大会前に話題となったのは、昨年1年間の臨時コーチを務め、今季はJ2京都サンガを指揮して、見事J1昇格に導いた曹貴裁監督がオフの期間を利用して再び臨時コーチとして帰ってきた。

「チョウさんの教えはずっと心の中に残っているし、今年1年間もチョウさんの言葉を思い出しながら、みんなで高い意識を持って取り組めたからこそ、優勝を手にすることができた。またチョウさんが戻ってくるので、より多くのものを学びたいし、絶対に一緒に優勝をしたい」

 大会前、宮本がこう話していたように、「チョウさんとともに日本一へ」という目標を持ってこの大会に臨んでいた。初戦の新潟医療福祉大戦は延長までも連れ込みながら2-1の勝利を掴むと、チョウ監督が合流した直後の準々決勝・国士舘大戦を2-0で下して、ベスト4までコマを進めてきた。

 準決勝の阪南大戦に向けてもチームはチョウ監督と中野雄二監督のタッグでチームに戦い方の方向性と選手個々の役割と能力を発揮するサポートを行ない、決戦の時を迎えた。

 だが、チームは万全の状況で試合をすることは出来なかった。アンカーとして攻守の要となり続けていた安居が新潟医療福祉大戦で負傷し、復帰は決勝戦からだった。そのため本来はFWの2年生・熊澤和希と1年生の藤井海和をダブルボランチで起用して、フォーメーションも変えた。

 そして、前半途中に今年に入って一番成長を遂げた選手と言っていい184cmの屈強なCB家泉が負傷し、十分なパフォーマンスが出せないまま、68分に無念の交代。藤井を一枚下げて、熊澤のアンカーで対応をしたが、「藤井と佐々木のCBコンビは公式戦初だった。それに加え、空中戦はほとんど家泉が対応をしていたが、佐々木が競る役になったことで、熊澤や左サイドバックの佐久間(駿希)と競り合いで重なってしまったり、細かい部分で最終ラインがずれる部分があった」と中野監督が語ったように、徐々に守備に歪みが生まれた流通経済大は71分に右サイドのクロスからFW松原大芽にヘッドで合わされ、先制を許してしまった。

次ページ一時は同点に追いつくも延長で力尽きる

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