【U-18プレミアリーグ】市立船橋とのEAST首位攻防戦を制した鹿島ユース “我慢比べ”に競り勝った要因は?

2015年07月14日 安藤隆人

鹿島ユースの先制ゴールで試合は一気に動き出し…。

首位攻防の大一番で鹿島ユースが勝負強さを発揮。70分にSBの大里が追加点を挙げる。

 前半戦最後のゲームにして、最大のヤマ場となった1位・鹿島ユース、2位・市立船橋によるEASTの首位攻防戦。市立船橋が勝てば首位が入れ替わるという、まさに『頂上決戦』は、刺すような日差しが照りつけるカシマスタジアムをさらに熱くさせる戦いとなった。
 
 立ち上がりはまさに一進一退の攻防だった。鹿島ユースはFW垣田裕暉をターゲットに、トップ下の平戸太貴、右の西本卓申、左の吉岡樹利也の個人技に秀でたアタッカー陣が、果敢に裏を狙う。
 
 一方の市立船橋もトップ下の高宇洋、普段は1トップだがこの試合では右MFに入ったFW永藤歩、左MF押尾大貴のアタッカー陣が、高い個人技とスピードを駆使して、鹿島ユースの牙城を崩しに掛かる。だが、鹿島ユースは町田浩樹、市立船橋は杉岡大暉というハイレベルなCBを中心に守備陣は堅く、双方の自慢の攻撃はことごとく撥ね返された。
 
 ハイレベルな攻防の末にスコアレスに終わった前半から一転、後半は一気に試合が動いた。開始早々の48分、鹿島ユースは左FKを得ると、ゴールに向かって鋭く飛んだ平戸の正確なキックがに、垣田が頭で合わせて先制に成功。逆にこのゴールで目が覚めたのか、市立船橋の攻撃も活性化していく。
 
「前半はアタッカー陣の良さがなかなか出なかった。後半、メンバーとポジションを代えてから動きが出てきた」と朝岡隆蔵監督が語ったように、1トップの矢村健に代わって、MF工藤友暉を投入し、工藤を左MFに、押尾を右MF、永藤を本来の1トップに戻した。失点こそ喫したが、永藤がスピードを活かし、果敢に最終ラインの裏を突いたことで、より前向きでアタッカー陣が仕掛けられるようになった。
 
 だが、町田は冷静だった。「積極的にラインを上げる時と、セットする時との使い分けを意識した。相手はスピードがあって、常に裏を狙ってくるので、危険な時はセットで対応できた」(町田)という最終ラインの巧みなラインコントロールで、決定的な場面を作らせなかった。
 
 すると熊谷浩二監督は61分に西本に代え、ドリブラーの色摩雄貴を投入。この采配がハマり、色摩と吉岡の左サイドでのドリブル突破が効力を発揮し、左SBの大里優斗がより高い位置で持ち前の攻撃力を発揮できるようになった。
 
 70分、右からのクロスにゴール前で反応したのは大里。冷静なトラップからGKの動きをよく見て、ゴールに流し込んだ。効果的な攻撃で2点のリードを奪った鹿島は、後半アディショナルタイムに永藤の突破から、工藤に決められるが、そのまま勝ち切って、首位をがっちりとキープした。

次ページ高体連トップクラスにも負けない走力と球際の強さを備えた鹿島ユース。

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