「誰もが、相模原が…」チーム始動日に藤本淳吾が語っていたこと。決着は最終節で

2021年12月04日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「土台をしっかりと作る意味でも、残留は大事」

残留がかかる最終節で、藤本は「どれだけ自分たちにフォーカスできるか」を重視。チーム一丸となって戦い、残留を掴み取りたい。写真:田中研治

 2021年1月18日。SC相模原のチーム始動日、藤本淳吾はこんなことを言っていた。

「誰もが、相模原が降格するんだろうなと思っているかもしれない。4チームが落ちるなかで、難しいと思う」

 クラブ史上初のJ2の舞台。厳しい戦いになると覚悟していた。ただし、チーム一丸となって戦えれば、「とんでもないことが起こせる」と信じていた。

 藤本自身、当時の発言を覚えている。「みんなでまとまって、大きな力になれば残留できると思う、という話はした」。あれから約11か月。「意外と早かった。あっという間だった」と37歳のレフティは振り返る。

 東京ヴェルディとの最終節を前に、相模原の順位は勝点38で降格圏の19位。ただし、東京Vに勝てば、自力での残留を決められる。同41で16位のザスパクサツ群馬と、同39で18位の大宮アルディージャが最終節で直接対決。得失点差も踏まえ、この両チームのどちらかを上回ることができるからだ。

 勝利が求められる東京V戦。プレッシャーは感じていない。「毎試合、勝たなければという思いでやってきている」。同じスタンスで臨むだけだ。

 重視すべきは「どれだけ自分たちにフォーカスできるか」。相手の情報は、スタッフが提示してくれる。「それを頭に入れながら、自分たちの力を出せるかどうか」に集中する。

「いくら練習で良くても、試合でできないと意味がない。理解していても、表現できなければいけない」

 それが決して簡単なことではないと理解しているが、「トライするとか、カバーするとか。そうやってチームはまとまってくる」と力をこめる。「自分のミスはみんながカバーしてくれるし、自分も味方のミスをカバーできるようにしたい」。
 
 クラブの未来を考えても、残留を勝ち取りたい。スポーツ事業の取り組みにも熱心なIT大手『DeNA』が今年から経営に参画。相模原がより一層の飛躍を遂げるためにも、ピッチ上でも成果を残したいと考える。

「ステップアップというか、環境を整えていくためにも配分金は必要だし、大きな会社がサポートしてくれている。クラブとしてさらに成長する可能性はある。その土台をしっかりと作る意味でも、残留は大事になる」

 藤本はここまでチームトップの7ゴールを記録。貴重な得点源は、チャンスメイクはもちろん、前線からの守備も精力的にこなしてきた。始動日には「まとめ役じゃないけど、そういうのもやっていけたら。気づいたことがあったら、どんどん言っていきたいし、言っていかないといけない。そこは自分の役割」とも語っていたが、その言葉どおりの振る舞いでチームを支えてきた。

 今季初の勝点3、つまりJ2初参戦の相模原にとっての"歴史的な初勝利"を挙げたのは4節の大宮戦だった。スコアは2-1。終了間際に決勝点をマークしたのは藤本だ。最後のゲームでも、チームに歓喜を呼び込むような活躍を期待したい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

【PHOTO】相模原×松本|選手たちを力づけた両チームのサポーター
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事