【川崎】初タイトル獲得の鍵を握る“トライアングル”――「中村-大島-谷口」が秘める可能性

2015年07月12日

初コンビとなった「大島&谷口」の2ボランチ。出来は“ギリギリ及第点”。

第2ステージ初戦のFC東京戦では、中村をトップ下に配した形に。守備の負担を軽減させるとともに、フリーマンのような形で自由に攻撃に関与させる狙いがあった。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 今の勢いを維持すればタイトル獲得も決して不可能ではない――。そんな印象を抱かせるほど、第26回多摩川クラシコは川崎の完勝だった。

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 第1ステージの15節から3連勝を飾った川崎は、大島僚太や小林悠ら怪我人が続々と復帰するなかで第2ステージを迎えると、FC東京との"多摩川クラシコ"でも2-0と勝利。中断期間を挟んだものの、リーグ戦4連勝と好調をキープしている。
 
 第1ステージ中に最も頭を悩ませたのは"ボランチ"だった。下記は、第2ステージ初戦を含めた「ボランチコンビの組み合わせと成績」だ。
 
■今季リーグ戦(全18試合)
「ボランチコンビの組み合わせ」と「成績」
 
中村&大島:7試合/3勝1分3敗
谷口&森谷:4試合/3勝1分
中村&山本:1試合/1敗
中村&谷口:1試合/1勝
中村&森谷:1試合/1敗
大島&森谷:1試合/1勝
大島&谷口:1試合/1勝
※中村のアンカー起用(2試合/1勝1分)
 
「中村&大島」が最多の7試合で、それ以外にも複数のコンビを試している。大島や中村憲剛の負傷という事情があったにせよ、様々なコンビで試行錯誤を重ねた結果、第2ステージ初戦は今季初の「大島&谷口」に落ち着いた。
 
 結論から言えば、「大島&谷口」の2ボランチは"ギリギリ及第点"という出来。不用意なパスミスもあり、FC東京の守備網に引っかかる場面も少なくなかった。それでも、ポテンシャルを考えれば、この2ボランチを使い続けるべきだろう。風間八宏監督も試合後にこうコメントしている。
 
「(谷口彰悟と大島僚太は)まだまだできる。僚太はまだコンディションが万全ではないし、彰悟もボランチをやり始めて日が浅い。まだまだやれると思うし、若い力でやってもらいたいと思っている」
 
 この日のポイントは、この2ボランチの前に中村を配置した点だ。前半の機能性は今ひとつながら、後半はこのトライアングルを中心に上手くバイタルエリアを攻略した。
 
 先制点も中村が起点となって一度サイドに展開し、中央で大島やレナトが絡んで左に振ってから、最後は再び中へ。「中→右→中→左→中」の揺さぶりは見事で、堅守を誇るFC東京が、ただずるずると下がらざるを得ない崩しを見せたのだ。
 
"初結成にしては"という条件付きながら、FC東京のプレスをかいくぐった「中村-大島-谷口」のトライアングルは潜在的な可能性を感じさせた。当の3人は、それぞれ手応えをどう感じているのか。次のページで掘り下げていく。

 

次ページ課題は2ボランチの関係性。「彰悟と僚太のどちらかが前に出ないと」(大久保)。

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