山梨学院高で選手権初出場・初優勝に貢献し、白崎凌兵（現・鳥栖）、前田大然（現・横浜）、渡辺剛（現ＦＣ東京）など14人のＪリーガーを輩出。また、コーチとしてヴァンフォーレ甲府、監督としてアルビレックス新潟を指導したほか、新潟シンガポールの監督も歴任。そんな異色の経歴を持つ吉永一明氏のオールラウンドな指導哲学に迫るのが本著『異色の指導者』だ。

　現役時代に目立った実績がなかったという著者は、出身の福岡から上京し、三菱養和サッカークラブで指導者としてのキャリアをスタート。これを皮切りに、様々な出会いや誘いをきっかけに、Jユースや高校、海外クラブにJクラブと、様々なステージで指導に携わっていく。

　30年以上の指導キャリアを誇る吉永氏は、本著で「いろんなことに挑戦してみようというスタンスでいたことで、幅が広がっていったのだと思う」と語る。その言葉通り、指導者としての多岐にわたる経験、教訓の数々が、豊富なエピソードとともに綴られている。

　輝かしい経歴を持つS級同期メンバーとの邂逅、白崎凌兵や前田大然ら後にJリーガーとなる選手たちを指導した日々、右も左も判らない未知の国での冒険、そしてそれまでの経験を武器に赴いた新潟での挑戦……。

　人跡未踏のキャリアで築いてきたその指導論とはいかなるものか。サッカー界に貢献したいという著者の想いが詰まった一冊だ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部