【指揮官コラム】チェンマイFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|自分でアレンジする楽しさ、素晴らしさを知る

2015年07月07日 サッカーダイジェスト編集部

タイには自宅よりも外食の方が安く済む環境がある。

三浦監督が行きつけにするパン屋での朝食。焼きたてのパンで作るサンドイッチが美味とのこと。

 今回はタイの食文化について話をしてみたい。僕がまだタイに来て1か月も経たない頃の話だが、日本の大学に留学しているタイ人の女子学生と、チェンマイで話をする機会があった。
 
 その彼女がこんなことを言っていた。
「私は生まれてから一度もお母さんの作った料理を食べたことがないの」
 
 そしてタイでは家で作るより、外食の方が安く済むとも周りの人から聞いていた。6時過ぎからガヤガヤと支度をする屋台のようなお店で朝食を摂る人は少なくない。20バーツから30バーツ(80円~120円)くらいだろうか。
 
 僕の日課は朝、7時頃から身体を動かす。来日当時はランニングにストレッチ。朝は食べる時と食べない時があった。現在は友人が進める「動きのトレーニング」(詳しくは『ピッチのなかでは「自然に立つ」ことが大事』の回を参照)で1時間半くらい汗を流し、その友人と一緒に日本人とタイ人の夫婦が経営するパン屋でいろんな話をしながら朝食を摂る。行きつけのお店ができたのである。
 
 朝食代は、ふたりで200バーツから300バーツ(800円~1200円)と、日本では普通だがタイ人の朝食と比べれば破格の値段。そんななか、そこのコーヒーとパンは毎日でも食べたくなる味だ。日本で食べるパンにも劣らない焼き立てのパンは、一日を迎える活力に変わる。
 
 そしてたくさんの日本人がここのパンを買いに訪れ、外国人もここで作る日本のパンを堪能する。メロンパンにアンパン、揚げアンパンにレーズンパン。もちろんフランスパンやクロワッサンもある。日本から来た人を何人か連れて行ったが、焼き立てのパンで作るサンドイッチは日本で食べるより美味しいと絶賛される。僕は、この店で日本の食文化、味へのこだわりを感じた。
 
 僕はタイ料理が好きだ。安く、気軽に、いつでも食べられるタイ料理。決して気取らず、今は日本でもタイレストランが増えていると聞く。
 
 チェンマイのナンバーワン名物は「カーソーイ」というカレー味のヌードルで、食べてみないと味を正確に表わすのは難しいが、普通の麺とかた麺(揚げた麺)が入っていて、ココナッツの風味を利かせ鶏肉が入っているのがベーシックだ。
 
「カウマンガイ」というチキンライスは、シンプルで定番のメニュー。初めて食べた時から気に入り、タイ料理=カウマンガイというハマりようだった。香草が強く、スパイシーなトムヤンクン、ガッパオという豚肉を使った少し辛い料理だ。
 
 また、グリーンカレーをはじめとするタイ独特なスパイシーなカレーなど、多くのタイ料理を味わった。
 
 ただ、なにかが違うのだ。それはやはり日本人の"自分で作る"食文化、言ってみれば味へのこだわりなのかもしれない。

次ページタイ料理を日本風にアレンジして気付いたこと。

みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事