【コパ・アメリカ現地レポート】集中力の欠けた3位決定戦で勝者ペルーが得た勲章

2015年07月04日 熊崎敬

ゲレーロが得点王に王手をかけたことも“3位”ペルーの喜び。

2大会連続で3位入賞を果たしたペルー。偉業と言えるが、リカルド・ガレカ監督が語ったように、これを最大の目標である2018年ワールドカップ出場に結びつけなければ、価値も半減してしまう。 (C) Getty Images

【コパ・アメリカ2015】
3位決定戦
○ペルー 2-●パラグアイ
[得点者]カリージョ(48分)、ゲレーロ(89分)
 
 3位決定戦というのは残酷だ。
 
 開催国であれば、応援してくれたファンへの最後の挨拶という意味も生まれるが、そうでなければ「残業」と大差ない。
 
 コンセプシオンのスタジアムは満員とはならないまでも、多くの地元ファンで埋まり、それなりに盛り上がった。
 
 ただ、盛り上がったといっても、それは決勝に向けての前夜祭という意味でだ。
 
 24時間後に迫った「世紀の一戦」で頭がいっぱいのチリ人たちは「チチチ! レレレ!」を嬉々として大合唱し、「このコパは勝つしかない」と歌い続けた。
 
 優勝の可能性が消えたなかでの一戦、加えて観衆は試合に集中していない。そんななかで、名勝負が生まれるはずもない。
 
 試合はやはり、淡泊なミスが頻発する、スリルに欠けたものとなった。だが、両チームの選手たちを責めることはできないだろう。パラグアイもペルーも今までの5試合で、もう十分に力を出し尽くしているのだ。
 
 3位決定戦は、準決勝からの休養が1日多いペルーが2-0の勝利を収めた。
 
 48分、右CKをゲレーロが頭で落としたところをカリージョがきれいに流し込んで先制。終了間際の89分には、カウンターからゲレーロがダメ押しの2点目を決めた。
 
 ペルーにとっては、2大会連続の3位である。
 
 見どころの少ないゲームだったが、後味は悪くなかった。
 
 というのも、ゲレーロがチリのバルガスに並ぶ4点目を決めたからだ。ゲレーロがゴールを決めた瞬間、ベンチも含めてペルーの選手たちは狂喜乱舞した。「エースを得点王に」という思いを胸に、彼らは3位決定戦を臨んでいたからだ。
 
 得点王争いは現在、4得点のバルガス、ゲレーロを、3得点のビダル(チリ)、アグエロ(アルゼンチン)が追う展開。明日の決勝で5点目を決める選手が出なければ、ゲレーロは2大会連続で得点王を手中にする。
 
 2大会連続の3位と得点王。これは称賛に値する勲章である。
 
現地取材・文:熊崎 敬
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