【女子W杯】絶対的なキャプテン・宮間あや 「終わり方」へのこだわり

2015年07月03日 松原 渓

常に相手選手への敬意を忘れない。

イングランド戦では今大会2本目となるPKを決める。その落ち着き払った姿はまるでスローモーションを見ているかのようだった。(C) Getty Images

 耐えて、耐え抜いた先に、ドラマは待っていた。

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  女子ワールドカップ準決勝でイングランドと対戦した日本は、後半アディショナルタイムに勝ち越し弾を奪う劇的な勝利で、2大会連続のファイナリストとなった。
 
 今大会のイングランドは試合によってメンバーを替え、縦に速い攻撃を仕掛けてくる特長はあったものの、それ以外につかみ所がなく、不気味な相手であった。そして蓋を開けてみれば、ロングボールの精度が高く、空中戦はことごとく上をいかれた。
 
 しかし、日本は人数をかけた分厚い守備で跳ね返し続けた。前半はお互いにPKで1点ずつを奪い合い、迎えた後半アディショナルタイム――、川澄のクロスが相手のオウンゴールを誘い、これが決勝点となった。オウンゴールによる幕切れは、誰もが予想していなかった展開だという。
 
 「勝った側のチームからすれば、気持ちで押し切ったゴールだったし、負けた側のチームからすれば、アンラッキー。もし日本がそういうことになったら本当に耐えられないので、可哀想だなと。イングランドも全員で慰めていたので、良いチームだなと思いました」
 
 試合後のミックスゾーンでオウンゴールを喫した相手選手を気遣ったのは、キャプテンの宮間あやだ。誰より強い勝利へのこだわりを持っているからこそ、その痛みが理解できる。
 
 2011年のドイツ・ワールドカップの決勝でPK戦の末に優勝を決めた瞬間、自らの勝利を喜ぶ前に肩を落としたアメリカの選手のもとへ向かい、一人ひとりとハグをしていた姿が思い浮かぶ。宮間にとっては、どんな敵も試合が終われば"サッカー仲間"なのだ。

次ページ宮間にワールドカップを。チームメイトの想いはひとつ。

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