【なでしこサッカー新時代】第6回 塩越柚歩(前編)|「東京オリンピックでは、世界のスピード、強さを感じた」

2021年10月31日 西森彰

「サッカーが楽しい瞬間が増えました」

浦和での活躍からなでしこジャパンでも飛躍。塩越選手が昨季からの快進撃について語ってくれた。写真:田中研治

 「なでしこサッカー新時代」第6回目のゲストは、三菱重工浦和レッズレディースの塩越柚歩選手だ。

 近年は浦和でのレギュラー獲得から、なでしこジャパン初招集、さらには東京オリンピック出場、WEリーグ開幕戦のスーパーゴールと、勢いはとどまるところを知らない。進化を続ける新鋭のスピードスターに話を聞くことができた。
 

――昨年のリーグ戦の活躍から、なでしこジャパンの一員として、東京オリンピック出場。そしてWEリーグ開幕戦でゴール。塩越選手の勢いは天井知らずなんじゃないかなと感じますが、ご自身ではいかがですか。

 一昨年の皇后杯ぐらいから、コンスタントに試合に出られるようになり、自分のパフォーマンスが上がっている感覚がありました。森(栄次)前監督のサッカーが、自分にすごくフィットしていたと思います。プレー面である程度の自由も与えてもらい、サッカーが楽しい瞬間が増えました。自分だけではなく、チームメートたちも楽しみながら、試合に勝っていった感覚もありました。それがどんどん自信になっていった気がします。

――チームの手応えという意味では、どういう部分が進化したのでしょうか。

 浦和は「つなぐサッカー」を掲げていますが、どこで攻撃の起点を作るのかという部分が、やや曖昧だったのかなと思います。森監督の指導では「ボールをつなぎたい」という目的以上に、守備の部分を強く指摘されていました。そして、「良い守備が、良い攻撃につながる」というコンセプトが、去年1年間でチーム内にすごく浸透したと思います。この人数をかけてしっかりとボールを奪い切ったところから、良い攻撃、チャンスが増えた部分ですね。

――森監督が就任した一昨年の浦和は、怖いもの知らずの攻撃というイメージでしたが、昨年はボールをしっかりと握り続けてゲームをコントロールしたり、切り替えの早さで相手を追い詰めたりするシーンも目立っていました。

 浦和の特徴であるパスサッカーが大前提にあり、そこに守備の部分を加えて、今のレッズレディースのスタイルを築き上げられたと思います。特に、攻守の切り替えの部分は、チームのみんなで意識をしている部分なので、見ている人にも伝わっていたら、とても嬉しいです。
 

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