【識者に訊く|JリーグMVP候補】“ヤバいゴール”連発のL・ダミアンは群を抜いている。中村憲剛も称えたストライカーとは?

2021年10月28日 二宮寿朗

家長を表現するなら“違いを生み出す男”か

左からL・ダミアン、家長、前田。今季、JリーグMVPに輝くのは?(C)SOCCER DIGEST

 今季も残すところ5試合となり、いよいよ最終盤を迎えるJ1リーグ。熱い激闘が繰り広げられた2021年シーズンで、最優秀選手賞に輝くのはいったいどの選手か。スポーツライターの二宮寿朗氏にMVP有力候補3名を挙げてもらい、現時点までのそれぞれのプレーを評価してもらった。

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●家長昭博(MF/川崎フロンターレ)
今季J1成績:32試合出場・8得点 ※33節終了時点

 表現するなら"違いを生み出す男"。この人の存在があったからこそ、これだけの勝点(33節終了時点で勝点84)を積み上げられたのだと思えてならない。

 チームの流れが悪くなったときにどうするか。リズムを変え、場所を変えてボールを操り、チームを正しい方向に導いている印象だ。守備においても、周りがひと呼吸ついているところであえて強めに寄せてボールを奪うなど、「フロンターレの流れ」を切らさないための大きな役割を果たしている。

 簡単にボールを失わないそのキープ力が、どれほどの安心感を生み出すか。攻守にアグレッシブなチームにおいてパワーを貯める時間を作るなど、一つひとつのプレーが実に効果的だった。

 ゲームを読む力と、ゲームのツボを押さえる力。横浜との開幕戦の2ゴールは、シーズンの流れを作る意味でも非常に大きかった。中村俊輔以来となる2回目のMVPも十分に現実的だ。また、日本代表がフロンターレ型の4-3-3を採用するなら、ぜひ代表でも見てみたい。35歳、円熟ぶりを見せたシーズンだと言える。
 
●レアンドロ・ダミアン(FW/川崎フロンターレ)
今季J1成績:30試合出場・17得点 ※33節終了時点

 ストライカーとしてまさに先頭に立ってチームを引っ張ってきた。大事なところ、苦しいところでゴールを奪う頼もしさ。今シーズンの印象として強く残っているのは、"ヤバいゴール"が多かったことだ。

 3月17日、5節・神戸戦での振り向きざまのロングシュート、続く21日の6節・浦和戦ではバイシクルシュートを披露。そして5月26日の16節・湘南戦では、山根視来からのパスをトラップで浮かせてオーバーヘッド弾を炸裂させている。何度、驚きの声を上げてしまったことか。圧倒的なシュートセンス、シュートパワーは群を抜いていた。

 個人的には、前半戦の大一番となった名古屋との2連戦、第1戦目(4月29日/22節)でのヘディング2連発も相当なインパクトがあった。加入1年目こそ川崎のスタイルに馴染むまでに時間が少々掛かったものの、順応とともにチームも彼の「高さ、強さ、うまさ」を引き出すスタイルにアレンジしていった感がある。守備の迫力も申し分なしで、求められた役割を十二分にこなしている。
 

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