【リーグカップ決勝・名勝負3選】新時代到来を告げる一戦で決勝点を決めたカズは、まさに「千両役者」だった

2021年10月27日 後藤健生

試合内容も白熱。「これぞプロの試合」を実感

92年に行なわれた記念すべき第1回大会。同年の日本代表のアジアカップ初優勝の立役者となったカズが、清水とのファイナルでもタイトルに導く活躍を見せた。(C)SOCCER DIGEST

 今年で29回目を数える伝統のリーグカップ(現ルヴァンカップ、旧ナビスコカップ含む)。10月30日に行なわれる決勝戦では、名古屋グランパスとセレッソ大阪が相まみえる。

 タイトルをかけた激闘必至の一戦で、どんなドラマが生まれるか。過去のファイナルでも、忘れがたい名勝負がある。本企画では、サッカージャーナリストの後藤健生氏に、過去28大会から思い出るに残る決勝戦を3つ選んでもらった。

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 1992年に開催された第1回大会の決勝は、この大会のステータスを確立するとともに、Jリーグ全体のイメージを確立した試合だった。

 この大会は、93年からスタートすることが決まった日本最初のプロサッカーリーグ「Jリーグ」のプレ大会だった。開幕とともに多くの観客が詰めかけ、スタジアムの雰囲気はそれまでの日本サッカーリーグ(JSL)時代とは様変わりした。試合内容も一気に白熱。「これぞプロの試合」ということを実感させてくれた。

 その決勝はJSL時代から日本でのサッカー人気を牽引してきたスター軍団のヴェルディ川崎(現・東京ヴェルディ)と、Jリーグとともに発足したサッカー王国、静岡の新しいクラブ、清水エスパルスという新鮮な顔合わせとなり、国立競技場には6万人を超える観客が集まり、華やかな雰囲気で新時代の到来を告げた。

 しかも、この試合の2週間前には広島で開かれたアジアカップで日本代表が初優勝を決めたばかり。盛り上がらないわけはない。そのアジアカップ優勝の立役者である三浦知良やラモス瑠偉、都並敏史が顔をそろえたV川崎が押し込むが、清水がカウンターをかける緊迫した展開となったなかで、しっかりと決勝ゴールを決めたのは三浦カズ。まさに「千両役者」だった。
 
 2005年の第13回大会決勝は、イビチャ・オシム監督が率いるジェフユナイテッド千葉がついに初のタイトルを手にした試合だった。

 ボールを奪ったら全員が相手ゴールを目指して走るコレクティブなオシムのサッカー。オシム監督就任の当初は戸惑っていた選手たちも、同監督就任から3シーズン目となるこの年にはすっかりオシムのサッカーを身に着けており、動き出しも非常にスムースになっていた。

 決勝の相手、西野朗監督体制4年目のガンバ大阪も遠藤保仁、橋本英郎、二川孝広の中盤に、FWの大黒将志が絡む攻撃的なチームで、12月にはこの年のJ1優勝を決めることとなった。
 

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