識者が選ぶ「歴代」&「現役」助っ人ストライカーBEST5|マルキーニョスは「順応の人」。日本で成長し成功を収める

2021年09月28日 二宮寿朗

通算152ゴールは外国籍選手の中で歴代トップ

来日7年目でMVPを獲得したマルキーニョス。日本に馴染み、成長していった稀有なストライカーだ。(C)SOCCER DIGEST

 浦和レッズのキャスパー・ユンカー、名古屋グランパスのシュヴィルツォク、横浜F・マリノスのレオ・セアラら今季新加入組のほか、川崎フロンターレのレアンドロ・ダミアンやFC東京のディエゴ・オリヴェイラなど、歴戦の点取り屋たちも相変わらず頼もしい働きを披露している。

 Jリーグの歴史において、数多くの助っ人が印象的な活躍を見せてきたが、ストライカーと呼ばれる選手たちのそれは、ひと際眩い輝きを放ち、チームの命運を左右する存在でもあった。「歴代」と「現役」それぞれの"助っ人ストライカーBEST5"を選ぶとすれば、どんな顔ぶれになるか。Jリーグのみならず、日本代表の取材経験も豊富な二宮寿朗氏に訊いた。

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★「歴代」助っ人ストライカーBEST5
1位 マルキーニョス(鹿島ほか)
2位 ジュニーニョ(川崎ほか)
3位 ワシントン(浦和ほか)
4位 オルンガ(柏)
5位 エムボマ(G大阪ほか)

 マルキーニョスはJリーグで最も成功した外国籍ストライカーだと言っていい。計7クラブを渡り歩き、J1通算333試合、通算152ゴールは外国籍選手の中で歴代トップの数字だ。

 彼は「順応の人」である。東京Vにやってきたのは01年夏。注目されたのは一緒に入団したボランチのエメルソンのほうだった。一本調子のドリブラーは勝負強さこそあったが、プレーの幅が広いわけでもなかった。「ボールを受けたらブラジルのように時間の余裕はない」と助言を受け、プレーの判断をスピーディにする意識を持つようにするなど「Jリーグ流」にアジャストしようとした。

 横浜で岡田武史監督に、続いて千葉でイビチャ・オシム監督に出会ったことが彼を飛躍的に成長させる。チームのスタイルに合わせつつ、ゴールを奪う術を会得した。以前、インタビューした際に彼はこう語っていた。

「オカダさん、オシムさんは僕に多くのことを教えてくれた。日本で成功する礎をこの2年間で築くことができたのかもしれない。2人はタイプこそ違うが、チームをうまく乗せていくという共通点があった。自信を持たせてもらった」
 
 左アキレス腱断裂という大怪我を負い、一度日本を離れたものの清水でJ1残留の立役者となって07年から鹿島に移籍してリーグ3連覇に大きく貢献する。プレスのスイッチ役を担い、攻守において連動、連係の中心にいた。運動生理学に通じたオズワルド・オリヴェイラ監督のトレーニングのおかげだと彼は言った。

「監督はいつも良いコンディションで試合に臨めるようにしてくれた。だから守備をやっても攻撃をやっても疲れない」

 来日して7年目でのJリーグMVP。日本に馴染み、成長していった稀有なストライカーである。

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次ページ個で行くか、味方を使うかその見極めが非常にうまい

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