「相手がどいてパスコースができた」パリ五輪世代の注目MF成岡輝瑠に授けた藤本淳吾の“金言”

2021年09月09日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

「淳吾さんから『そこ止まってみろ』と言われたんです」

藤本(左)の助言で新たな発見があった成岡(右)。ともにチームの主力としてJ2残留に向け奮闘を続けている。写真:田中研治

 今年1月のチーム始動日に、SC相模原の藤本淳吾はこんなことを言っていた。

「気づいたことがあったら、どんどん言っていきたいし、言っていかないといけない。そこは自分の役割だと思うんで」

 J1はもちろん、日本代表での実績もある。クラブ史上初のJ2に挑む相模原で、実際のプレーだけでなく、自らの経験を伝えていきたいと、そんな想いだったのだろう。

 37歳のレフティは、その言葉どおりの振る舞いを見せている。たとえば紅白戦でプレーが止まっている時、身振り手振りを交えて後輩にアドバイスを送る。そんな藤本の助言に、「まだまだサッカーを知らないな」と気づきを得たのが、ボランチ成岡輝瑠だ。

 8月28日に行なわれたJ2第27節のジュビロ磐田戦でのことだ。

「自分の前に相手がいる状態で、味方のCBがボールを持っていた時に、自分はパスをもらいたくて、右とか左とかずっと動いていたんですよ。そうしたら淳吾さんから『そこ止まってみろ』と言われたんです。それで止まっていたら、スッとボールが入ってきて。

 ボールは動いているのに、自分は止まっている。そういう感覚がまだなくて、でも止まっていただけなのに、なんだろう、相手がどいて自分へのパスコースができた。上のレベルの人たちは、こういうことを考えながらプレーしているんだなって」

 成岡はプロ1年目の19歳。「どうしても動けるから、動いちゃう」という。だが藤本の一言で、「動いちゃうけど、逆に止まっているほうが相手からしたら嫌だったりとか」と、新たな発見があったようだ。
 
 パリ五輪世代の有望株に、現在はシャドーを主戦場とする藤本について訊けば、次のように答える。

「いてほしいところにいてくれるというか。自分がどうしても周りが見えていない時もあって、でも前を向いた時に、スッとパスコースを作ってくれる。動きすぎることもなく、でも要所要所には必ず顔を出してくれる」

 一方の藤本が見た成岡は「技術がしっかりしていて、ドリブルで前を向けるし、そういうのは上手いなと思う」とのことだ。

 歳の差は一回り以上、離れている藤本と成岡。J2残留を目指す相模原で主力として奮闘を続けるふたりのさらなる活躍に注目だ。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

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