J複数クラブも注目する急成長! 都リーグから総理大臣杯4強入りの快進撃を支えた山梨学院大3年生FWの凄み

2021年09月05日 安藤隆人

アミノバイタルカップ初戦の桐蔭横浜大戦でハットトリック「一気に自信に変わった」

急成長を遂げる山梨学院大のFW平河。東京都リーグ所属ながら全国で目覚ましい活躍を見せた。写真:安藤隆人

 今年の大学サッカー界において最大の発見は? と聞かれたら山梨学院大のFW平河悠だと言っても過言ではない。

 佐賀東高時代から左からの鋭いドリブル突破と正確なクロスが魅力のアタッカーだとは思っていたが、山梨学院大に進み、3年生となった今年のアミノバイタルカップで見た時、その成長ぶりと攻撃の引き出しの多さに衝撃を受けた。
 
 この時は、4-3-3の右ウィングとして高校時代からさらに磨きがかかったドリブル突破を随所に見せ、正確なクロスや積極的なカットインシュートを披露。このキレはある程度予想ができたが、想像を超えてきたのがオフ・ザ・ボールの動きとパスとドリブルのコンビネーションの妙だった。

 一言で言えば神出鬼没。右サイドに止まるのではなく、状況を見て中央、左サイドとスルスルと侵入をしていき、ボールを受けたらドリブルとパスをテンポ良く使い分けて突破の糸口を作り出していた。

 チャンスとなるスペースを常に嗅ぎ分けて、そこに瞬間的なスピードを生かして潜り込み、佐賀東で培ったスペースが限定されたところでのボールタッチを駆使して、的確な判断をする。それを本能のようにナチュラルにこなす。フットボーラーとしてのセンス、インテリジェンスの高さを感じさせる選手になっていたのだ。

 プレーだけではなく結果面でもインパクト大だった。アミノバイタルカップ初戦の桐蔭横浜大戦ではカテゴリーが2つも上で、川崎フロンターレ入りが内定しているGK早坂勇希を擁する関東1部の強豪を相手に、彼はハットトリックを達成したのだ。

「去年から都リーグでも点を取れるようになっていましたが、通用しているのは都リーグだからで、関東や全国に行ったら抑え込まれてしまうのかなと思っていました。でも、初戦の桐蔭横浜戦でハットトリックしてから一気に自信に変わった」

 自分でも疑心暗鬼だった部分が結果によって解消され、さらなる快進撃のきっかけとなった。

 2回戦ではatarimaeni Cup王者の東海大をPK戦の末に下し、3回戦では関東2部の日本大に3-2の勝利。この試合でも平河は決勝ゴールを含む2点を挙げ、初の総理大臣杯出場権獲得に貢献をした。準決勝で優勝した産業能率大に1-2で敗れたが、この試合でも1ゴールをマークし、6ゴールで得点王に輝いた。
 

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