金田喜稔がオマーン戦を斬る!「理解に苦しむベースの喪失。最低限のタスクさえ表現できていなかった」

2021年09月03日 サッカーダイジェストWeb編集部

「局面で勝てない、裏を取られる、切り替えも遅れる」

日本の選手たちは持ち前のハードワークの部分で、相手を上回ることができなかった。写真:金子拓弥 (サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 アジア最終予選の一発目、ホームでのオマーン戦は0-1の敗戦に終わった。

 残念な結果だ。残念というか、内容でも負けていて……もちろん、オマーンは個々の能力がそれなりに高かった。全員がハードワークできていたし、日本がやろうとしていることを存分に見せつけていた。

 対して日本はどうだったか。手元のメモを見ても、いつもより空白が多い。とりたてて書き留める事象が少なく、相手の守備陣形を崩したりとか、攻撃の形も乏しかった。

 なによりも気になったのが、森保ジャパンのベースが失われていたことだ。

 基本的には、森保監督のことは支持している。理由としては、1対1で戦い切れる、与えられたポジションで走り切れる、攻守の切り替えが速い、そうした作業を誰ひとりとしてサボらないチームを作り上げている点にある。誰が出ても、最低限のタスクはしっかりと全うすることができる。

 しかし、今回のオマーン戦では、そのストロングポイントをほとんど見せられていなかった。局面の勝負で勝てない、裏を取られて後追いする、切り替えでもルーズボールへの反応でも遅れを取る。自分たちが強みとするもので、ここまで勝てなかったのは初めてではないだろうか。
 
 両サイドを"えぐられる"回数も過去に比べて多かった。身体を入れてキープすべきところでは若干軽さを感じた。

 コンディションや時差の問題など様々な要因があったにせよ、走るとか、戦うとか、森保ジャパンの根底となる部分を一人ひとりが表現できずにいた。そこが理解できなかったし、根底が揺らいでしまったことに大きな不安を覚えた。

 指揮官への求心力が弱まってしまったのか。あるいは、選手たちの中に油断や慢心があったのか。そこは洗い出して、リセットしなければならない。

 森保監督はいかなるアプローチで、日本代表の本来の姿を取り戻すのか。そこが重要になってくると思う。チーム全体が後退してしまったので、そこをもう一度、引き上げるべきだ。そのベースがあってはじめて、選手同士のコンビネーションやチームとしての戦術はどうするかという話になる。
 

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