東京五輪で左SBを託された中山雄太はA代表に定着できるか? 好循環を生み出すピッチ外での地道な努力

2021年08月09日 サッカーダイジェスト編集部

オランダのズウォーレで本格的に挑んだポジション

この世代のキャプテンとして、長らくチームを牽引してきた中山。OA加入後もリーダーシップを発揮した。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 チーム発足以来、キャプテンとして若き集団の先頭に立って走り続けてきたのが中山雄太だ。

 オーバーエイジ組が合流して以降はA代表の主将を務める吉田麻也に腕章を託したが、吉田とともに練習時から変わらずチームをリードした。

 元々ボランチが主戦場ながら、今大会は左サイドバックとして献身的なプレーを披露した。

 2019年1月に下部組織時代から過ごした柏レイソルを飛び出し、さらなる競争を求めて飛び込んだオランダのズウォーレで本格的に挑んだポジションだった。

 20年10月に招集されたA代表の欧州遠征でも、コートジボワール戦で左SBとして先発。堂々たるパフォーマンスで森保一監督を唸らせ、五輪でも最終ラインの左を託されたのだった。
 
 オランダでは英語を習得すべく猛勉強を重ねた。自ら課したノルマは年間1000時間。後に「最初はできるか不安だった」と明かしたが、毎日3時間という地道な努力が自信につながっていった。ミーティングで監督から突然意見を求められても即座に応じるほどの上達ぶりに、チームメイトから拍手が沸き起こったこともある。ピッチ外での労を惜しまぬ姿勢が仲間の信頼につながり、ピッチでのパフォーマンスに好影響を及ぼすと、その好循環が五輪代表での飛躍の拠り所となった。

 リーダーとしての素養はすでに中学時代には育まれていたようだ。学級委員を任され、体育祭の団長も経験。合唱コンクールでは指揮者を務め、先頭に立って物事を進める難しさと達成感を味わった。本人は悩んだこともあると漏らすが、先生から「将来につながる」と背中を押され責務を全うしたという。卒業文集に書いた夢は「サッカー選手になって活躍すること」。それから9年、日の丸を背負って大舞台に立ち、見事にチームを牽引してみせた。

 もっとも、いまはまだ道半ば。見据えるのはA代表定着、そしてワールドカップ出場だ。それまで、幾度となく壁にぶつかるかもしれない。それでも、重圧を跳ね除けキャプテンとして五輪チームを束ねてきたこの4年間が、必ずや糧となるはずだ。

構成●サッカーダイジェスト編集部

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