【中断明けの青写真|鳥栖】松岡が抜けた穴を埋めるのは島川か。攻撃の質向上とリスク管理が肝に

2021年08月06日 荒木英喜

ポイントはチームとしての熟成度アップ

東京五輪で目覚ましい活躍を見せている林。得点源としてかかる期待は大きい。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J1のサガン鳥栖を取り上げる。

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 リーグ戦中断を目前に控えた7月上旬、鳥栖に衝撃が走った。クラブ初のJ1昇格、そしてJ1定着に貢献した豊田陽平の栃木SCへの移籍、さらには金明輝監督が練習中に行なった行為による指揮資格停止処分。そして8月2日、さらに鳥栖を揺るがすニュースが伝えられた。クラブの至宝と言える松岡大起の清水エスパルスへの移籍だ。

 近年の豊田の起用法や、昨季から取り組んでいるサッカーを見れば、豊田と金監督の件は鳥栖にとって大きな出来事ではあるが、チームの大勢に影響はないと言える。しかし、松岡の移籍は別だ。松岡は鳥栖U-18時代からの金監督の教え子であり、秘蔵っ子。鳥栖が3-5-2のシステムを採用できるのも、中盤のアンカーにボール奪取能力、運動量、配球力、そしてサッカーセンスに優れていた松岡を起用できたからこそ。

 では、中断明けにこのポジションに誰が起用されるのか? 有力なのは島川俊郎だろう。すでにこのポジションでの実績があり、守備力にも定評がある。中断前は3バックの右で起用されていたが、ファン・ソッコが怪我から復帰すれば問題ない。2番手は梁勇基か。ともにベテランなので彼らの併用と見たほうがいいかもしれない。今のところ目立った補強もないため、松岡の抜けた穴以外に現在の布陣から大きく変わることはない。
 
 そうした意味で中断明けのポイントとなるのは、チームとしての熟成度アップ。第22節・セレッソ大阪戦で鳥栖は、連戦で疲れの見える相手を圧倒した。だが、結果は3-3の引き分け。監督不在中の指揮を執る片渕浩一郎ヘッドコーチは試合後、「(攻撃の)質を上げていくこと」と「リスクマネジメント」を修正ポイントに挙げた。

 質の高いポゼッションは今シーズンもできている。あとはそれをいかにしてゴールにつなげるか。連係をさらに深めることで攻撃の質が上がれば、自ずと得点力も上がる。

 またチームには若い選手が多く、J1での経験値の低い選手が多い。そのため、点が入るとイケイケ状態になることがある。

 それを一概に悪いとは言えないが、最優先されるべきは勝利。点差、試合時間などによって、今以上にチームの意思統一を図ることが求められる。中断期間にこれらの課題を修正できれば、ACL出場権獲得という目標も達成できるだろう。

取材・文●荒木英喜

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