【中断明けの青写真|愛媛】成功体験の積み上げとプラスアルファの戦力。巻き返しの準備は整った

2021年08月05日 松本隆志

後半戦での巻き返しは大いに期待できる

G大阪から育成型期限付き移籍中の唐山。今後大きく伸びるポテンシャルを備え、プラスアルファの戦力になる可能性は大だ。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 東京五輪開催でJリーグは一時中断。その間、各チームは戦力補強やミニキャンプ実施など、再開後に向けて準備を進めている。五輪後はいかなる戦いを見せてくれるか。ここでは、J2の愛媛FCを取り上げる。

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 第23節を終えて勝点19のリーグ20位。開幕前の低い下馬評を考えれば至って妥当な戦績でシーズンを折り返した愛媛だが、その戦いぶりを振り返れば必然的な低迷感は否めなかった。

 やはり最も痛かったのは開幕6戦までに費やした"もったいない"時間だっただろう。今季愛媛は和泉茂徳前監督のもと、昨季までの顕著なポゼッションサッカーから、守備でのハードワークをベースにしたスタイルへと大きく舵を切った。だが、そのスタイルに合ったラインナップが揃っているとは言えない状況では、思うような結果を残せないのは、ある意味、必然的にも見えた。

 我慢と粘りだけを求められたチームは、勝点3を見据える戦いができないまま開幕6戦未勝利。前監督は自ら指揮を下りた。

 指揮権が實好礼忠監督に移り、ポゼッションスタイルを織り交ぜた攻守で積極性を見せるサッカーへとスイッチ。就任早々に連勝を遂げるなど明るい兆しは見えていた。

 しかし、チーム構築に費やした開幕前の準備期間を含めた第6節までの失われた時間を埋めるには至らず、チームはトライ&エラーを繰り返すなかで安定的な戦いぶりを見せることができずにシーズン折り返し地点へと辿り着いた。
 
 ただ、ハッキリとトンネルの出口は見えていないものの、シーズン後半戦での巻き返しは大いに期待できると言っていい。

 依然安定感は欠けるものの、高い位置から守備を仕掛け、その勢いのまま攻撃に転じるという形が徐々に浸透してきており、それによる成功体験も選手たちは得つつある。これらはいわゆるチームとしての積み上げと言われる部分だが、その"積み上げ"だけを後半戦の巻き返しの根拠とするのは理由が弱いだろう。

 その根拠として最も期待したいのは、前半戦でチームの戦力として結果を残せなかったプラスアルファの選手たちだ。
 

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