「いや、なにしてんだよ(笑)」。思わずツッコミたくなる上田綺世の天然ぶり【東京五輪代表のマル秘エピソード】

2021年07月29日 志水麗鑑(サッカーダイジェスト)

「結構マイペース。抜けたところもあった(笑)」

法政大では1年生時から主力として活躍した上田綺世。一方でピッチ外では忘れ物が多かったという。(C)SOCCER DIGEST

 7月8日発売の『サッカーダイジェスト』における「ルーツ探訪」特集で、法政大の長山一也監督に上田綺世について話を聞いた。「大学時代、上田選手は成長につながる悔しい経験をしましたか?」の問いに恩師は、「大学の時は結構順調でした」と答え、「ただ…」とこうも続けた。

「ただ、結構マイペース。ユニホームを忘れた時もありました。そういう抜けたところがあった(笑)」

 この話を中学時代に鹿島ノルテJrユースでチームメイトだった黒宮渉(現いわきFC)に伝えてみた。

「中学校の時からそうなんですよね(笑)」

 どうやら上田はピッチを離れると天然な一面があるようで、今でもたまに連絡を取る間柄の黒宮に、あるエピソードも明かしてもらった。

「大学時代、ジールカップという選抜の大会がありまして、急に綺世から連絡がきました。『なんだ?』と思って内容を見たら『ランシュー忘れたから貸してくれない?』って。『いや、なにしてんだよ』と思いましたよ(笑)」

 思わずツッコミたくなる緊急連絡だったが、運良く靴のサイズが同じだったようで、黒宮は上田にランニングシューズを貸したという。
 
 黒宮も「綺世はマイペース」と言うが、一方でピッチ上での上田は「サッカー選手としてFWで活躍している理由が分かる性格」とも述べる。それは、「自分の思っているプレーを他の人に伝えるのが上手くて、こうなったら、こうしてほしい、という要求が具体的」な一面を指していて、得点のために味方へしっかり要求できるパーソナリティを感じ取っていたという。

 そして長山監督も、「抜けた感じなのかなと思っていたら、ピッチ上ではちゃんと考えてサッカーしている」と口にする。「自信がついてからは、メディアの方への対応も含めて、言語化して話すこともすごく上手くなった」とも褒めていた。

 長山監督も黒宮も、グラウンド上における上田の頼もしさを知っているからか、冗談交じりに天然エピソードを笑って話す表情が印象的だった。東京五輪を戦っているストライカーへ、恩師は「この先も成長し続けていくはず」と、旧友は「綺世らしさを世界の舞台で出してほしい」とエールを送っていた。

取材・文●志水麗鑑(サッカーダイジェスト編集部)
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