「情けないのは親の教育」トルシエの元通訳が仏代表2選手の日本人差別疑惑に見解「それが面白いと信じている」

2021年07月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

2人の謝罪は「言い訳」と糾弾

トルシエ監督(左)の下で通訳を務めていたダバディ氏(右)。(C)Getty Images

 フランスと日本に深い繋がりを持つ"識者"が、バルセロナ所属のフランス代表ウスマンヌ・デンベレとアントワーヌ・グリエーズマンによる日本人差別疑惑に私見を述べている。

 事の発端は2019年、バルセロナがプレシーズンツアーで来日した際の映像が流出したことだ。ホテルの一室で、ゲームのセッティングを行なうスタッフを待つ間、デンベレが隣にいるグリエーズマンに対して、「この醜い顔は、PES(日本名『ウイニングイレブン』)をプレーするためにいる。恥ずかしくないのだろうか」とつぶやいた。

 さらには、部屋にいる日本人スタッフの仕事ぶりに対して、「どんな言語なんだ、これは?」「君たちは技術的に進んでいるのか、いないのか。国としては発展しているはずだよな?」とフランス語で馬鹿にするような発言をしていたのだ。

 海外メディアでも取り上げられ、騒動が大きくなるなかで、デンベレは5日にインスタグラムのストーリーで以下のようにメッセージを発信した。

「最近、インターネットで2019年のプライベートな映像が出回っている。このシーンはたまたま日本での出来事だった。地球上のどこで行なわれていてもおかしくないし、僕は同じ表現を使っただろう。これはどこかのコミュニティをターゲットにしたわけではなく、このような表現は、プライベートでも友人の間では、その出身地にかかわらず使うことがある。

 ただ、このビデオは公開されており、この映像に映っている人々を不快にさせる可能性がある。だから、彼らに心からの謝罪を捧げる」
 
 また、グリエーズマンも同日にツイッターを更新。このように綴っている。

「僕はあらゆる形の差別に反対する立場を約束してきた。ここ数日間で、その意思を無視し、僕をそうではない男としようとする人たちがいる。僕に対する非難に対しては断固として反論するとともに、日本人の友人たちを傷つけてしまったのなら謝罪したい」

 この一連の騒動に対して見解を示したのが、フィリップ・トルシエ元日本代表監督のもとで、通訳を務めていたことでも知られるフランス人ジャーナリスト、フローラン・ダバディ氏だ。一般ユーザーからツイッターで意見を求められると、母国のトッププレーヤーの行為に対して、次のように綴った。

「私も子供の時にずっとデンベレ選手出身のパリ郊外でサッカーをしてきた。貧しい階級の子供たち(フランス系であろうが、アフリカ系であろうが)はありえない用語でお互いを差別し、それが面白いと信じています。情けないのは親の教育です。

 多民族国家の問題でもありますが、同じ町、同じマンションで共存生活を送っているだけに、もう人種差別はないと暗黙に彼らが考えます。とはいえ、彼らのスラング用語の中で人種に言及した言葉が多いのです。いずれも、恥ずかしいです」(原文ママ、以下同)

 ダバディ氏は2人の謝罪にも苦言。「言い訳だ」と切り捨てている。

「『人種差別じゃない、私たちは普段から使ってるスラングだよ。どの人種に対してもさ』と言い訳をするのですが、アメリカだったらこれは全く通じないのです。彼らは間違っている。しっかりと謝って欲しかったです」

"火消し"どころか、その後の対応も問題だったと厳しい見解を示した。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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